守りたい背中【男主】 (ページ37)

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ある日のタピオカ(後編)3 ページ37

初めて飲んだタピオカミルクティーは
なかなか美味しいものだったが
それ以上に俺は有志の機嫌が
はやく直ってくれればいいのにな、
と思っていた。

マサさんとちーは美味しそうにゴクゴクと
タピオカミルクティーを飲んでいるのに対して
有志はと言えば一口飲んだだけ。

するとそんな有志にやっと気づいたのか
ちーが彼に「美味しくないん?」と問いかけた。

そうじゃない、と言うように首を横へ振る有志。

しばらく考え込んでいたちーだったが
何を思ったのか、自分のタピオカミルクティーを脇へ置き
身を乗り出して、有志のタピオカミルクティーを口にした。

「うわあ～、有志のやつもめちゃくちゃうまいやん!!」

どうやら自分のものとは味が違うらしく
今まで輝いていたちーの顔が
一段と眩しくキラキラと輝き始めた。

そんなちーの最高の笑顔が自分に向けられたことに満足したのか
今まで不機嫌そうに黙っていた有志が

「千紘のも飲んでみたい！」

といつも通りの明るい笑顔を取り戻していた。

2人がタピオカで子どもみたいに
はしゃいでいるのを見て
こんな時間の過ごし方も悪くないな、と思った。

最初はあんまり乗り気ではなかったけれど
2人の笑顔を見ていると、
また来てもいいかもなと思えたのだった。

向かい側に座っているマサさんも
目を細めて眩しそうに
2人のキラキラと輝く笑顔を眺めていた。