星火燎原～イナズマイレブン～ (ページ11)

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第10話ページ11

「お嬢様、前半までで気になること、というのは分かりましたか。」

「彼らは何かを待っています。何かを……」

おそらく、帝国が待っているのは豪炎寺修也だ。

昨年、木戸川のエースストライカーとしてサッカー部にいた彼はFFの決勝戦の後、サッカー部を辞めている。

その彼がうちの学校に転校してきた。

うちのサッカー部は弱小だから実力を見るのには丁度いい。

そういうことか。

なら彼は動かないだろう。

何故なら彼は妹が事故で昏睡状態に陥っている。

それが理由でサッカーを辞めたらしい

ここまでが昨日、調べた内容だ。

彼は私に似ている。

確かにここで彼が動けば戦況は大きく変わるだろう。

彼なら帝国から点を取ることも可能だ

そして、帝国は彼の実力を見るという目的が達成されたら試合を放棄して帰るだろう

そうなったら試合放棄と見なされ雷門中の勝ちということになる。

彼が試合に参加すれば雷門の勝ち、参加しなければ負けだ。

そこまで考えた所で後半開始を告げるホイッスルがなる。

帝国は後半開始早々、デスゾーンを撃ってきた

雷門イレブンはそのボールにあっけなく吹き飛ばされ、円堂君もボールと一緒にゴールネットに叩きつけられていた。

有人、豪炎寺君のことをおびき出そうとしてる？

そして、次々とボールを選手にぶつけていき、とうとうグラウンドで立っているのは眼鏡君だけになった

彼は辺りを見回して怖くなったのか、フィールドから逃げ出した

途中、ユニフォームを投げ捨てて走っていく

そのユニフォームは豪炎寺君がいる木の前に落ちていた

それでも円堂くんは立ち上がる

立ち上がってもすぐにシュートを打たれてとうとう20点目が決まった。

「もう、見るまでもありませんね。これで雷門サッカー部は…………」

夏未がグラウンドから視線を外し、校長室を出ていこうとする

その時、グラウンドの方がザワついた

夏未が慌てて窓の方を振り向く

それにつられて私もフィールドに視線を戻した。

そこには眼鏡君が脱ぎ捨てた10番のユニフォームを身にまとった豪炎寺君がいた。