ミッドナイト・トレンディ【黄】 (ページ3)

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■ ページ3

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｢……なんで｣

｢……ちょっとひとりになりたくなっちゃって｣
｢……そ、っか｣
｢うん｣

今日は久々にゆっくり会える日で、
このあと軽く晩酌でもして一緒に寝られると思っていたのに。

Aから発せらせたことばを理解することを、脳が拒否する。

薄々感じてはいた。
家に来る頻度も少しずつ減っていたし、
今日は短時間しか会えないと言われることも多くなっていた。

無論、夜を誘うのも、いつも俺から。

かといって浮気をしている素振りはなくて、
どちらかというと仕事が忙しい日々を送っているようだった。
Aはマメだけど器用な子ではないから、隠し事なんてできないし。

そんな忙しいなかで俺との時間をかかさず作ってくれていて、
本人が言うように疲れが溜まって一人になりたくなったというのは本当のところだろう。

｢俺はやだよ。別れない｣
｢……うん、照ならそう言うと思った｣

｢ごめん、今日は帰るね｣
｢ねぇ、考え直して｣
｢んー……｣
｢おねがい｣

帰り支度をしようとする彼女の手を掴んだ。
たぶんきっと、今の俺はどうしようもなく顔がグシャグシャになっている。

鼻の奥がツンとする。

｢今日は帰る｣
｢……送ってく｣
｢いいよ、私は休みだけど、照明日も仕事でしょ。そのへんでタクシー拾うから｣
｢送る｣

ジワッと溢れ出すものを袖で拭って、
逃げるように寝室へ駆け込んだ。

やるせない気持ちに頭をガシガシと掻き、
その場にへたりこむ。
後ろにあるドアの向こうから微かにため息が聞こえた。

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