1.傘を差してくれる人 ページ1
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『…へ？』
思いもしてなかった言葉に、聞き返す私。
「だから、別れたいんだ」
私の目の前にいるのは、付き合って4年になる同い年の恋人。
高校時代に付き合い始めて、お互い初めての彼氏彼女。
それでも、魔の"3"がつく節目も難なく過ぎ、安定した付き合いだった。
『えっと、その理由、は...』
「他に好きな子がいるんだ」
聞けば、一年くらい前から気になる子がいたらしい。
その子にも彼氏がいたけど、最近別れ、思い切ったのだそう。
彼は真面目だから、この約一年の間、葛藤していたのだろう。
彼を咎めたい気持ちがあるのに、私は彼のように思い切れずにいた。
初めての彼でもあるし、別れというものを意識していなかったから、いざ別れの時になると、どう返事をしていいか分からなかった。
たくさん見てきたドラマや友人の話で予習はされていると思ったのに。
それから、どうやって話がまとまったのかはあまり覚えていない。
ただ、お揃いの指輪を彼が置いていったことで、二人の関係が解消されたと理解する。
「ありがとうございました〜！」
店員さんの声を背中で聞きながら、ゆっくりと帰路につく。
私、なんて言えばよかったかな。
今までお人好しと言われることは何度かあったが、それ以前に驚きすぎて何も言えなかった気がする。
私に優しく現実を教えるように、頭に冷たい何かが落ちてきた。
『雨予報だったっけ...？』
暗くなった空を見上げると、ポツポツと雨が降ってきた。
傘もなく雨に濡れて帰るしかないのが、またなんとも惨めで。
優しい彼はいつも傘を買ってきて差してくれていたな、なんて呑気に思い出していると、その彼はもういないのだと言うように雨が強くなる。
ようやく、彼との４年間を思い出して、今更ながら泣き始めた。
『...ッ、』
涙が止まらなくなり始めた頃、ふと雨が止む。
正確には、雨が遮られた。
黒い傘が頭上にあって、その持ち主を振り返ると、綺麗な、女性がいた。
「ぁ―、すいません。思わず...」
声は、男性のようだった。
『あ、いえ、見苦しい姿を見せてすいません...っ』
「いや...あ、傘使ってください。僕はすぐそこなんで」
その人はあまり目を合わせないようにしながら傘を差し出すと、走り去っていく。
見ず知らずの優しさに甘えて、私はその傘を使って帰宅した。
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Akubi(プロフ) - やふこさん» お心遣いありがとうございます！(><)本日更新しますので、是非お楽しみくださいませ！！ (2023年3月6日 15時) (
レス) id: b400e762d8 (このIDを非表示/違反報告)
やふこ(プロフ) - Akubiさん» 続きはもちろん気になりますが、お忙しいのだろうし、暖かい日もあれば、また寒くなったり、お体に気をつけて、ご自身のペースで、無理のない程度に書いていただければと思います。いつまでも待ちますからー。 (2023年3月5日 18時) (レス) @page45 id: 76622097b3 (このIDを非表示/違反報告)
Akubi(プロフ) - やふこさん» 初めまして！コメントありがとうございます！社長秘書を読んでくださっていたなんて...！再会できて嬉しいです^^笑 なのに更新が滞ってしまい申し訳ないです...ちゃんと続き書きますのでもう少々お待ちください♪ (2023年3月1日 17時) (レス) id: b400e762d8 (このIDを非表示/違反報告)
やふこ(プロフ) - はじめまして。めちゃくちゃ面白いです。ヒロインの描写がすごく可愛くて、好きな雰囲気だし、物語も読みやすくて大好きです。って、私が大好きで一気に読んでいた社長秘書の作者さんじゃないですか！！そりゃハマるわけだ…もう！どちらのお話も大好きです！！！ (2023年3月1日 15時) (レス) @page44 id: 76622097b3 (このIDを非表示/違反報告)
Akubi(プロフ) - ビーグル犬さん» コメントありがとうございます！！そう言ってもらえて嬉しいです！更新頑張ります！(^^) (2023年1月19日 8時) (レス) id: ab9f76a07e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Akubi | 作成日時：2023年1月17日 13時
