姉が結婚挨拶に日本の至宝を連れてきた【糸師冴】

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とりあえず、結婚挨拶のテンプレ通りに冴選手に質問する。


「あっえっと、お好きな食べ物は……」


なぜ、食べ物を聞いた？

もっと聞くことあったと思う。


「塩こぶ茶です」

「冴ちゃん、それは食べ物じゃないよ」
　

渋い……。

真顔の冴選手と対象的に、
姉はニコニコ笑顔で幸せそうにしている。


「お姉ちゃん、糸師冴さんとはどうやって出会ったの？」

「冴ちゃんが道に迷ってたから案内してたら、
案内している時に弟妹談義で盛り上がって、そこから連絡取り合うようになったの〜」


なるほど、冴選手がブラコンなのは有名な話だ。


重度のシスコンの姉とブラコンの冴選手なら確かに気が合うかもしれない。


喧嘩になってそうだが……。


その後も、冴選手に質問していき、
なんとか両親がちゃんと話せるくらい和む。




だが、問題が起こった。

今度の休日に親戚で集まるのだが、そこに冴選手も行くことになった。

それ自体は全然大丈夫なのだけれど、
親戚の中に問題がある。


姉と同い年の従姉だ。

いつも、従姉は周りの大人がいない時に
姉のものを取っていったり、壊したりしていた。


姉は私がいればそれでいいという思考なので、
物欲などは何もない。



姉は物をなくしたり壊したりしていると思われ、
両親に叱られていても否定したところで

駄目だと分かってしまっているので、従姉のことは放置している。


親戚は真面目でしっかりした姉よりも、
甘え上手の従姉のことを可愛がっていた。



だが、私は知っている。

従姉が姉の前の婚約者を寝取っていたことを。



恐らく、今回も寝取る気だろう。

それに、あの糸師冴選手だ。



親戚の集まりで何もなければ良いが……。

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