姉が結婚挨拶に日本の至宝を連れてきた【糸師冴】

1．結婚挨拶 ページ2

糸師冴選手は、
サッカーファンではない私でも知っているくらいの知名度がある。



プライベートは謎に包まれており、熱愛報道なども出たことがない。


そういう、ミステリアスなところや
ルックスの良さ、確かな実力から芸能人顔負けの
人気があるらしい。

学校の友達もよく話して黄色い歓声をあげている。


だが、そんな有名人が我が家のような一般家庭に来るわけがない。


なるほど。そっくりさんか。



「Aさんと結婚させて頂く糸師冴です」


本物だぁぁぁぁ。


冴選手が敬語を使ってるの始めて見た。


もはや家族全員、糸師冴選手のオーラにやられていて、恐縮している。


「あっ、妹ちゃん。これ転勤のお土産〜」


両親を落ち着かせるために、姉が普段のトーンでお土産を渡してくる。

流石、お姉ちゃん。


冴選手に持たせていた袋を渡される。

冴選手って、荷物持つんだ……。


「げっ、玄関じゃなんなので、家のなかで話しましょう」

「お邪魔します」


恐縮しまくったお母さんが案内する。


こういうのは普通、挨拶するほうが緊張するが
我が家の場合は、挨拶される側が緊張している。


席につき、用意していたお茶やお菓子を出した。

こういう時は、いろいろと質問するはずだが
緊張しすぎてこちら側は何も言えない。


「Aさんと結婚させて頂く糸師冴です」

「先日、家の家族に結婚の承諾を貰いました」

「Aさんのご家族にも結婚を認めて頂きたいと思い、お時間を頂きました」


すらすらと自己紹介と挨拶をしていく冴選手。

結婚の承諾と言っているが、
反対されても結婚するという意思が伝わってくる。


「こちらこそ、娘をよろしくお願いします」

「姉がお世話になります」



姉と冴選手はどう見ても性格が全く違う。
　
どうやって、冴選手を捕まえたんだ……。

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