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「はぁ……昨日のことなんにも覚えてないの？」
『昨日って？』
「まじか」
やっぱり昨日のおかしなテンションは寝ぼけていたのと熱でおかしくなってたんだね。
睡魔と熱ってほんと恐ろしい。
『もしかしてここAの家……？』
「そうだよ」
『は、なんで……』
「信じられないかもしれないけど瑞稀が行きたいって言ったんだよ」
録音しとけばよかったな。
どうせわたしが無理やり連れ込んだみたいに思ってるんでしょ。
そんなことするわけないじゃん。
「とりあえずお粥作ったから食べて」
ぶすっとしている瑞稀は放っておいて、お茶碗に入れたお粥をスプーンで掬ってふーっと冷ましてあげてから口に運んであげた。
こういうの付き合ってる時はよくあったっけ。
『うまい……』
「ん、よかった」
そう言って瑞稀の様子を見ていると「こっちおいで」と作間くんに腕を引かれてリビングに連れて行かれてしまった。
「どうしたの、？」
龍斗「ちょっと色々聞きたいことがあるんだよね」
聞きたいことって……？
わたしまだ作間くんと出会って数分しか経ってないんだけど……
龍斗「Aちゃんはまだ瑞稀くんのこと好き？」
「え……」
いきなりそんなことを言い出す作間くん。
わたしが元カノってこと知ってるんだ……
「好き……なのかな」
好きなのかはハッキリわからない。
だけど他の誰にも取られたくなくて、独占欲みたいなものが生まれてしまう。
もう瑞稀はわたしにとってなんでもないってわかってるのに……
龍斗「ふふ、じゃあ俺協力してあげる」
「え、？」
龍斗「ちょっとはより戻したいって思ってるでしょ？」
思ってるのかな……
心の中にあるモヤモヤは"好き"なのかな。
龍斗「昨日瑞稀くんとご飯食べに行ってたんだけど、ずっとAちゃんの話してたから未練あるんだと思うよ〜」
そんなこと言われたら意識しちゃうじゃん……
まだわたしのこと好きでいてくれてるのかなって。
期待するだけ無駄だってわかってるのにね。
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作者名：ｻﾘｰ。 | 作成日時：2020年3月8日 20時
