かぶり ページ19
場地さんside
ベンチに寝転がって欠伸をする。
千冬うまくやれてっかな
思ったよりAのこと好きだったみてぇだし。…よく分かんねぇけど
「…場地」
不意に名前を呼ばれ、ちょっと体を起こす
目の前には一虎が居た。今頃登場かよ、と俺はふっと笑う
疲れたように一虎は俺の隣に腰を下ろした。
「お前どこ行ってたんだよ」
「…なんか変な女に絡まれてたら場地たち見失った」
ただでさえ人が多い文化祭だからまあ仕方ねぇ
クク、と笑うと一虎がため息を吐いた
「いーなお前は」
「…よくねーよ。俺、Aが好きだもん」
「それマジで言ってんの？」
神妙な顔つきで頷く一虎に、ひっそりと笑みが消える
千冬と被ってんじゃねぇか…。Aも大変そうだな
一虎が項垂れながら喋る
「しかもアイツもAのコト好きなんだろ？」
なんだ、バレてんじゃん
「…んーそりゃ分かるよな」
千冬の気持ち悪い顔を思い出して、また寒気がした
あんな面して本人にバレてないのが不思議でたまんねぇ
「まぁ、被ってんのAだけじゃないけどネ」
その発言に俺は一虎をギョッと見つめる
「は？お前ら好きなやつ2人いんの？」
一虎は立ち上がり、伸びをして微笑んだ。
サッと風が吹いて一虎の髪が揺れる
「恋愛じゃない方で」
と、一虎は俺を見て怪しげに笑う。
「？」
イマイチ言葉の意味がわかんねぇ。どういう意味か聞こうとした途端、一虎のスマホが音を立てた。
変な着信音だな
「…はい、なに」
ぶっきらぼうに電話に出た一虎は、やがて電話を切って俺を見た
「Aどこいんの？」
「あー…千冬と居る。どこいるかはわかんねぇ」
一虎もAが好きだと知った今、少し後ろめたさがある
「…クラスの出し物あるから呼ばれた。じゃあな場地」
「…おう、またな」
きっとこれからAを探しに行くんだろう
徐々に小さくなっていく一虎の背中を見ながら、俺は目を閉じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 170人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はちみつぷーさん(プロフ) - Miyumiyuさん» 初コメ嬉しいい･･･！ありがとうございます、モチベ上がりました！頑張ります！ (2022年4月8日 15時) (
レス) @page1 id: 602bf9e950 (このIDを非表示/違反報告)
Miyumiyu - めっちゃ面白いいいいいいい！千冬可愛いですねえ！更新楽しみにしてます＾＾ (2022年4月8日 14時) (レス) @page8 id: d2d5035906 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はちみつぷーさん | 作成日時：2022年4月7日 18時
