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16章『闇獣と精獣』3 ページ17

「リリシア!」
駆け込んで来るや否や、フェリックスのシャツが目の前に広がった。「え⁉」というヘレンの叫びが聞こえるのが分かる。リリシア自身も、自分がどういう状況なのかがわからない。「あらあら」とコンラッドの愉快げな声が聞こえたあたりで、やっとリリシアは理解した。これは世間一般的に言うハグであると。

「生きてたんだな!」
「失礼ね!」
思わず目の前のシャツを突き飛ばした。あまりに失礼な物言いだろう。自分は生まれて初めてのハグをされ、戸惑っているというのに、フェリックスは涼しい顔をしているのが尚更気に食わない。

「…え、何でそんな顔赤いんだ?ハグくらい普通だろ?」
「いやいやいやいや、いやいやいや。」戸惑いの表情を浮かべるフェリックスに、ガイアとヘレンがリリシアの気持ちを代弁した。ジェシカもフェリックスと同じ表情を浮かべているのが気になるところではあるが。

「フェリックス、そういうのって育った環境によって違うんだよ」と諭すように言うガイア。「ジェシカもね」と付け加えるのも忘れない。言われたジェシカは、「し、知ってたわよ?そんなこと!」と慌てて言った。

…いや、アレ絶対知らなかった顔だ。そうリリシアは思うが、ガイアが会話が成立したことに対して心底喜んでいる表情をしていたので、口をつぐんだ。ウブどころのレベルではない。一体いつになったらガイアはその先の関係へ頑張り始めるんだろう。

「ははーん?リリシアさん?まさかハグごときで照れちゃうんですかー?」
「…エッガー先生、呼ぶわよ」
「すいませんでした」
速攻低姿勢になったフェリックスにそれ以上は話しかけないリリシア。何故なら、早くコンラッドから『闇獣』とは何なのかが聞きたいのだ。そんなリリシアの意思を感じ取ってか、コンラッドが二回咳払いをした。

校長の咳払いに一同が静まり返る。その様子を満足げに見たコンラッドは、急に真面目な表情となって、部屋中に響く声で話し始めた。

「プリゼノの皆さんは、先に知っておいたほうが良いでしょう。あなたたちは真っ先に狙われる存在ですから。自分の身は、自分で守らないとね」
キョトンとした表情を浮かべるリリシア以外の四人。その後ろから、慌てたような声が飛んだ。アナスタシアだ。

「ちょ、ちょっと待ってください、コンラッド校長!それは本来三年生になるまで教えることはないはずです!この子たちにはまだ早すぎます!」

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設定タグ:魔法使い , 魔法学校 , 明咲こより   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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明咲こより - 美坂るぅさん» 了解致しました。 (2017年2月5日 14時) (レス) id: 67d07cb40f (このIDを非表示/違反報告)
美坂るぅ(プロフ) - 明咲こよりさん» そうですね、消しておきます。どうやらコメ欄とボタンの色がコピーできていないようですので、ひつようならよろしくお願します。 (2017年2月5日 14時) (レス) id: a41f8e5530 (このIDを非表示/違反報告)
明咲こより - 美坂るぅさん» できました!画像が重なってしまっているのは、自分で調べて直します!作成して下さり、本当にありがとうございました。それから、パスワードが書いてあるコメントは消去した方が宜しいのでしょうか? (2017年2月5日 14時) (レス) id: 67d07cb40f (このIDを非表示/違反報告)
美坂るぅ(プロフ) - 明咲こよりさん» 了解です。 (2017年2月5日 13時) (レス) id: a41f8e5530 (このIDを非表示/違反報告)
明咲こより - 美坂るぅさん» 申し訳ありません…urlを入れているのですが、画像が表示されません。もう少し試してみますので、少々お待ち下さい。 (2017年2月5日 13時) (レス) id: 67d07cb40f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:明咲こより | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年1月2日 19時

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