08.傲慢 ページ10
｢ごめん、ごめんなさ…っ｣
｢？何のことだ｣
｢アンタはちゃんと約束を守ってくれたのに、俺は守れなかった……あいつらを死なせちまった｣
目の前の子供の言葉に愕然とした
自身の力が及ばなかったと涙するその子供は無力で健気なように見える
本当にこの子には家族を守りきる未来が見えていたのだろう
その悔やむ様子に何故か無性に苛つきを覚えたのを覚えている
｢それは後悔か？いいや、お前のはただの傲慢だ｣
俺の言葉に目の前の子供は目を見開いて驚いている
傲慢なんかじゃないってか？前世の記憶があろうとも今のこいつは子供の身体だ
｢いくらお前が戦闘能力を保持していようともその身体自体は子供のままだ。大人と同じようには動けない｣
そう諭せば悔しそうに眉を寄せて唇を噛む
今にも血が流れだしそうな唇に指で触れて力を抜かせたその手で頬を包む
つり目がちのその瞳の目尻を親指で撫でながら話を続ける
｢だから、まあ…恨むなら
｢……それ、は｣
｢お前は寧ろ誇るべきだ。ヒーローが来るまで一人で耐えて、半分も守ったんだからな。自分を責めるな｣
ゆらゆらと瞳が揺らぐがそれでも頑なに自分の責任だとその瞳が言っている
｢ぶっちゃけるとお前にそんなに自己嫌悪されると俺の立つ瀬がないんだが……お前はあの場にいた誰よりもヒーローだったよ｣
俺たちが到着するまで一人でよくやった、お前は家族のヒーローなんだ、と言えばようやくゆるゆると肩の力を抜いた
これで子供らしく泣いてくれりゃあ、良かったんだがな…大人にならざるを得なかった子供か……
｢お前も難儀だな｣
｢？｣
｢いんや、こっちの話｣
不思議そうな顔をした目の前の柔らかな癖毛を宥めるように軽くぽふぽふと叩いた
そのまま掻き混ぜるように撫でると気持ちよさそうに目を細めて大人しく俺の手を受け入れた
｢で、急かすようで悪いが提案だ｣
きょとりと俺を見上げるこの子供を制限したくなかったが、そうも言ってられない事態になった
だからせめて、
｢お前にヒーローなれという話が出てる｣
限られた空の中でも羽ばたけるくらいの自由は此奴に与えたいと思ってもいいだろう？
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クロノト(プロフ) - 夢主男の子？女の子？ (2022年9月10日 10時) (
レス) id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
苑歌(プロフ) - 面白いです！この話気に入っているのですが、もう更新されないのでしょうか？迷惑だったらすみません。 (2020年7月15日 11時) (レス) id: b9c45128c7 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - チョコ味の白兎さん» コメントありがとうございます。返信が大変遅れてしまいました。すみません。自己満足の小説ですが、好みと言っていただけて嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします^^* (2019年9月21日 12時) (レス) id: d3ef9add41 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ユキさん» コメントありがとうございます。返信が大変遅れましてすみません。応援ありがとうございます。嬉しいです。これからもよろしくお願いします^^* (2019年9月21日 12時) (レス) id: d3ef9add41 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ムゥクさんさん» コメントありがとうございます。そうですね、題名にもある通り少女なので中也は口調はそのままで女の子になってます。これからの展開を考えてわざと文章には明記していませんでしたが混乱させてしまい申し訳ありません…これからもよろしくお願いしますね^^* (2019年3月29日 8時) (レス) id: 768cad872d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みや
| 作成日時：2019年3月6日 16時
