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降谷僕はピアスを開けたことがない
桃原A知ってるよ
降谷病院で開けたらいい


そう返せば彼女はそれじゃ意味がないと言った。深夜二時。しょうがなくつけた電気の下、降谷は大きくため息をついた。



降谷とA。真反対の人間に見えて、価値観はよく似ている。一番の信条は、嘘が嫌いと言うこと。だからこそ、ろくに素性の知らない奴でも協力者として迎え入れたのかもしれない。


それでも、今回ばかりはその真意が分からなかった。
狸がひたすらブリッジをするという、意味のわからないスタンプの連打に、しびれを切らした降谷は、たまらず女に電話を掛けた。



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「うるさい。こんな真夜中に何だ、非常識だぞ」

まだ10代とは言え、高校3年生。まさかこんな形で叱りつけるとは互いに思ってもなかっただろう。



『びっくりした。既読ついたから、起きてるのかと思って』

あっけらかんと答えるAに呆れて物も言えなかった。聞こえるようにため息をついた降谷は、怒鳴った勢いで立ち上がっていたが、ズルズルとベッドに腰を下ろした。





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「どうしてわざわざ僕なんだ」

『あなたは私の上司でしょ?』

「部下にした覚えはない。あくまでも君は、公安警察の協力者。それ以上でも以下でもない」

『女子高校生の可愛いお願いだよ?聞いてよ』

「その形容詞は間違えている。生意気な高校生の憎たらしい脅迫の間違いだろう」

『まあ、あの(・・)降谷さんが、上司の娘の切実な望みを無下にするなんてこと、できないよね〜?』


ニヤリ。女はそんな効果音のつく笑みを見せる。
降谷零の頭の中は、今この瞬間想像つかない速さでフル回転した。



(今抱えてる案件はアレとコレとソレと、あの人の許可でなければおりない書類は自分だけのデスクではおさまりきらず、部下のデスクまで占領している。もし今あの認可が下りなければ、来月初旬から始める予定の‥etc)



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「‥‥‥分かった」

『やった!降谷さん大好き!』


 何だかんだ結局、降谷がピアスの穴を開けてやることで落ち着き、電話はあっという間に切れてしまった。



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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 降谷零   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ハル | 作成日時:2021年9月12日 0時

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