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ー ずっと忘れられない音がある。
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桃原Aピアス開けて欲しい
深夜2時のことだ。暗闇に点滅する光がまどろっこしくて、降谷零が苛立つ気持ちを押さえきれずスマホを開けばこれだ。
メッセージを送ってきた女は、自由気ままで、知らないことばかり無知の小娘。正しく言えば、普通の人が知らないような知識が豊富で、普通の人が知る普通を知らない。
お金はたんまり持っていて、よく遊んでいた。
自由を何より愛していて、時間に縛られることが何より嫌いな
彼女 桃原Aは降谷零の協力者のひとり−もとい警察上層部の娘だった。
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上層部に連れられた彼女は、笑っていた。優秀な子だから好きに使えばいい、と。駒のように使われる自分に、笑っていた。
偉い人間の子供は大きく二つに別れると思っている。
甘やかされて育った怠慢な人間か、厳しく育てられた優秀な人間。彼女は前者の面も持ち合わせる後者の人間だった。愛ゆえの束縛を受けたせいか、頭の回転が早く、何かに囚われるのが大嫌い。そんな人間がよく協力者になったと思うが、どこか掴めなくて、扱いずらかった。
そんな彼女は、何故か降谷零によくなついた。
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作者名:ハル | 作成日時:2021年9月12日 0時