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「Aの姉ちゃん、ジュース奢ってくれてありがとな！」
『どういたしまして、元太くんゆっくり飲んでね』
カウンター席からボックス席に移動したAは、ポアロを訪れた少年探偵団に左右を囲まれていた。子供の元気な圧に押し負け、ジュースを奢ったわけだが。
『へえ、今日はひったくり犯を捕まえて高木刑事に引き渡したの。スゴイネキミタチ』
子供の口から発せられる内容だとは思えず、苦笑いを浮かべると子供たちは素直に誉められたと思ったのか、エッヘンと鼻を高くした。
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「ねえ、Aお姉さん！今日も面白い話してっ」
ジュースを一口飲んだ歩美が、隣に座るAの顔を除き込んだ。時々、こうしてポアロで一緒になることのある少年探偵団たちは、物知りで楽しい話をたくさんしてくれるこの空間が大好きだった。
何がいいかなあ、とAは歩美に笑顔を返した。
『あ、イルカのお話にしようか。』
『イルカはね、とっても優しい生き物なの。だから、心に見えない傷を負った人を察知して、寄り添うって習性があるの。弱っている人がいたら、仲間じゃなくても助けようとしてくれるんだって』
「へ〜え、初めて聞きました！」
「すっげえんだな、イルカって」
「コナンくん、知ってた？」
「いや、知らなかったよ」
『他にもね、ウミガメは母親には出会えなかったり、豚はからだの構造上空を見上げられなかったり、』
楽しそうに話を膨らませる子供達に、自然と笑顔をこぼしながら、ジワジワとマシュマロの溶けるココアに手を伸ばした。
何とも言えない甘ったるさに、何故だが涙が溢れそうだった。
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作者名：ハル | 作成日時：2021年9月12日 0時
