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岩融、壁になる ページ45

「岩融、がんばってくださいねっ!」

そう今剣に言われ、地下の壁になる俺。
何故か石切丸にナマハゲの衣装を着ろと言われ皆に「似合う、似合う」なんて感想も述べられてそんなに似合うのか?とか思いつつこの格好で地下の壁になり主を待つことにした。

ズゥゥン!!

主の悲鳴と共に落下してきた音。
どうやら鶴丸殿が作った落とし穴に落ちたようだ。
ちなみに俺も落ちた。
落ちて仕方なくここにあるのだが・・・本当は居るべき場所は違う所。
俺が立つ背後に階段を見つけたのでそこから行けば上がれるはずだ。

「うひっ!・・・ネズちゃんかよ・・・」

ネズちゃん?・・・と耳を傾ければ「チュー」・・・。
あぁ、ネズミか。

「・・・・・・あれ?前これだけ?え、進まない・・・」

軽くぼでぃたっちをされる。
俺の背後には階段があるがそれを塞ぐように立っているのでこれ以上進むわけがない。

「うひっ・・・・・・ひぃいいいいいいい!!」

お、目が合った。
俺はナマハゲの様に大声をあげて驚かす。
もう驚いているが。これではただの壁。

『ぐぉおおおおおおお!なぐごはいねぇえがァァァ?!』

「ぐぁぁぁああああああああああ〜〜ッッ!!!」

泣き叫ぶと主はフッと意識を手放した。

うむ、いい驚きだ。これは鶴丸殿も主に驚きを求めるはずだ。面白い。
・・・・・・ではない!

『主!主!大丈夫か?』

ゆっさゆっさと揺らし主の安全確認をする。
こんなに焦ったのは何時ぶりだろうか。
今剣が鶴丸殿の落とし穴に落ちた時か。
主と初めて出会った時の主の反応が凄すぎて少し焦った時か。

「ん・・・・・・んぁ・・・?・・・あ"っ?!」

俺と目が会い目を見開く主。
目には涙が溜まってきている。
身体はガクガクし、怯えている。

「やめ・・・食わないで・・・くわ・・・くわっ・・・」

『ぐげっ!?』

慌てて主は俺の背後に廻りながらアヒルの様な声を発し手刀で俺の首を・・・うなじを1発して走って階段の方にかけていく。

「くわぁぁぁぁぁっ!くわっ、くわっ・・・くわぁ!」

痛いではないか!
そう叫んだのだが主の耳には入っておらず主は暴れていた。ぱにっくというものだろうか。
おぉ・・・やりすぎたか・・・。

意識を手放す前、彼はずっと近侍の名前を叫んでいた。

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作者名:のろすけ | 作成日時:2019年7月26日 22時

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