今度の審神者は超怖がりでした《弐》 (ページ29)

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主、風邪を引く⑤ ページ29

三日月おじいちゃんside

｢みんなっ！主が風邪で壊れたっ！！｣

スパァァァン！

その時俺の心臓が5秒止まった。一つは主が風邪を引いたこと。もう一つは障子が勢い良く音を出したこと。

｢主が風邪？！｣

｢た、タオル！タオル！｣

｢やばいやばいっ！｣

｢あ、主さまが･･･｣

本丸中はドタバタと慌てふためいた。その間俺の心臓は止まったままだったが。
我に返った俺は突然立ち上がりジジイとは思えぬ速度で主の部屋に行こうとしたのだが･･･。

｢三日月の旦那！邪魔だっ！｣

『あなやっ！』

｢三日月！君少し向こうに行っててくれないか？｣

『あなやっっ！』

｢三日月さん、どいてっ！｣

『あなやぁぁっ！』

主が倒れたからみな、主の部屋に行こうとする俺を邪魔者扱い。慌てとるとはいえ、ジジイをもっと丁重に扱ってくれ。

着いた頃には息が上がり肩で呼吸をしていた所丁度部屋から出てきた和泉守に｢大丈夫か？｣って心配されていた。

『すまぬ･･･ゼーハーゼーハー･･･あ、主の部屋はここで良いか？』

｢･･･あぁ、む、無理すんなよ｣

それだけを言うと彼は水桶を片手に降りていった。
ゼーハーゼーハー。ふぅ･･･。

『主、ジジイだ。入るぞ？』

｢･･･三日月さんっ！｣

入った途端主が笑みを浮かべる。とても嬉しそうに。身体は火照り布団に寝かされたままでとても昨日までの主とは思えなんだ。

『････確か、疲労で夏風邪が発生したと･･･』

｢疲労は自業自得ですよ･･･皆さんといるのが楽しくてつい･･･｣

あはははっと笑う主の頬を優しく撫でてやる。

『あれほど無理をするでないと忠告しておいたのになぁ』

｢無理はしておりませんよ？｣

『そなた、この本丸を清掃しておっただろう･･･一度も休まずに』

｢そりゃ、一刻も早く前審神者を忘れて頂きたかったですし｣

『そう言えば･･･岩融に聞いた話だが、俺達の前審神者がお主の母方･･･なんだと。それは真実か？』

｢あ、それ聞きます？･･･心臓止まらないでくださいよ？｣

『大丈夫だ、今にも止まりそうだからな･･･』

そうだ、今にも心臓飛び出しそうなのだ。今の主が無理をせぬかヒヤヒヤしておるのだからな。

｢それ、大丈夫じゃないから･･･震えてるし･･･｣

『大丈夫、大丈夫だ。ジジイの生命力を舐めるな？』

｢もう死にそうな生命力ってなんですか｣

出来れば今の主の生命力を俺に分けて貰いたいものだ。風邪なのに･･･ハキハキしておる。何故だ？