25話・殺り損ねた『テメェ』にリベンジを ページ25
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
人を殺める。
その行為は何より罪深く、一生の枷として付き纏う。それを他人の指示で喜んで受ける奴なんてそういないだろう。だが、オレは違う。
「マイキーのためなら何だってしてやれる」
目の前に座る九井は顔を引き攣らせる。忠誠心が違う者同士そこは理解できないようだ。
別にどうだっていい。何を思われようと軽蔑されようと気にはしない。どちらにしたってその命令のおかげでオレは…運命の出会いをしたんだ。
「金を盗んだコソ泥二人。ソイツらの場所を特定するのに随分と骨が折れた。辺鄙な土地の雪国で誰も近寄らないような場所に住んでいたからな」
地図に載っていなかった山奥にあるひらけた土地。そこを見つけるのに数年はかかった。隠れるのに適した場所だ。だが逆にいえば殺しには最適な場所だった。
「馬鹿だよなァ？躊躇なく殺せる死に場所を自ら選んでくれたんだ。誰の助けも来ない。警察もすぐに呼べない。誰もいない隔離された所で惨めに死ぬんだ」
どんな風に絶望して泣き叫ぶんだろうか。
苦労した分、存分にいたぶって殺すか。
オレらに逆らった見せしめとしてやるか。
「初々しい気持ちでサブマシンガンを片手にアジトを出ようとしたとき…なぁ、九井ぃー」
「？」
テメェは覚えているだろうか。いや、覚えているだろうな。最高のプレゼントをしてくれたこと。
「お前が顔バレ防止のためにピエロの仮面…貸してくれただろ？」
「そう…だったな。適当に用意した物だったけどな」
「それをつけてオレはソイツらの元に行ったぜ」
そう、寒い雪国に耐えるためのダウンコートを着て顔バレを防ぐための仮面を被り、雪を踏みしめて遠く見える一軒家を見据えて。
「そこでオレはあるガキに出会ったんだよ」
大きな窓ガラスからこちらを見つめる小さな少女。すぐに分かった。あの裏切り者の男女の子供だと。怯えきって何もできないちっぽけな存在。オレにとっちゃあ、どうでもいい裏切り者の血を引いたゴミ屑だと。
「そのガキも殺す対象だった」
「子どもまで…いや、なんでもない」
「情けなんていらねぇーだろ？今さら」
だがそのガキは何も出来ないデクの棒ではなかった。生意気なことに抵抗して銃をぶっ放しやがった。意識が一瞬飛んだぐらいにはダメージを食らったんだ。
「大したガキだろ？両親よりも生きる術を持っていた。だから、褒めてやりたくてよぉ」
追いかけて、小さな背中に二発の銃弾を撃ち込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 210人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Omiso(プロフ) - 十六夜夏希さん» コメントありがとうございます！好きだと言っていただけてとても嬉しく思います！また、書き終わってしばらく経った今でもこうしてコメントを頂けること幸せです！本当に最後まで読んで頂きありがとうございました！ (2022年4月30日 14時) (
レス) @page38 id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜夏希(プロフ) - マイキーが春千夜を見放す(?)のって珍しいですね!言葉では表せないくらい好きです。お疲れ様でした!! (2022年4月30日 13時) (レス) @page39 id: cc6ab814ba (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ゆゑるさん» コメントありがとうございます！わわっ！たくさん褒めていただいてとても嬉しいです😊何より貴方様を楽しませられたことが作者にとって一番の幸せです😭本当に最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2022年4月12日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゑる(プロフ) - うわぁぁぁ!!今読み終わったんですけど、最高ですっ...！作者様の表現の仕方からもう素敵でした😭めちゃくちゃ面白かったです!!!!! (2022年4月12日 1時) (レス) @page39 id: 1d05848943 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - yumuiさん» コメントありがとうございます！隠れ主人公！確かにそういった捉え方もありますね…貴方様の発想に驚かされました。作り手としてしっくりときたお言葉をいただいて嬉しく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2022年3月7日 16時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Omiso
| 作成日時：2021年10月16日 17時
