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6話 ページ7

「やってのけなければならない。何度も教えただろ?」


やっていかなきゃいけない今の状況が嫌なんだ。それは我儘で無責任だろう。でも…!


「それでも私はやめた…「まだ一ヶ月だ。最初は慣れなくてしんどくてやめたいと思うのは仕方がない。君がまだ幼いのも重々承知している。それにオレもチャンピオンになった当初はそうだった…そうだったが、耐えた先に輝くガラルの未来があるんだ。それに皆が君を望んでいる」


ダンデさんのいうことが間違っているとも思ってない。きっとそれが正しい選択だと分かっている。

だからこそ…結局その言葉に折れて抱えていた膝を緩めて彼を見上げる。


「分かってくれてよかった。ほら、涙を拭いてくれ。チャンピオン」


そっと当てられたハンカチで涙を拭かれる。伸ばされた大きな手を掴んでは立ち上がった。


「それでこそAくんだ」


私の頭をひと撫でしたあと「さぁ、次はテレビ出演だ」とスケジュール表を確認するダンデさんを横目に、いつになったらバトルが出来るんだろうと腰についたお飾りとなっているボールを触った。


_________


多忙な日々が続き、頭からはすっかり「休む」という概念が抜けていた。


「Aくん、明日なんだが君の休みが取れたんだ。久しぶりに羽を伸ばしてきてくれ」


今日の仕事が一通り終わったあとに唐突に告げられた休みに一瞬固まった思考。

だけど、徐々に自然と顔が綻んだのが自分でも分かった。それを見たダンデさんはつられるように笑って


「君の笑顔を久しぶりに見たような気がしたぜ!無理ばかりさせて悪かった」

「〜ッいえ!ありがとうございます!」


とお礼を告げてダンデさんと別れた後、足を弾ませながら拠点になっているホテルの一室へと向かう。

今までの景色がより輝いて見えるほど私は浮かれていた。休みは何しようかな、久しぶりにワイルドエリアにでも!とあれこれ考えていると

ドンッ!と勢いよく誰かにぶつかって尻餅をついた。慌てて「すいません」と顔を上げれば



「よぉ、久しぶりだな。A」



そこには「大丈夫かよ」と手を伸ばし、長い足を折り曲げては特徴的なターコイズブルーの瞳を細めてヘラリと笑う


「キ、キバナさん!?なんでここに…」


と聞けば私を引っ張り上げながらキバナさんは少し考える素振りをした後、何か企むようにニヤリと笑えば


「お前に会いにきたんだよ」


甘ったるい声と共にズイッと端正な顔を近づけてきた。

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Omiso(プロフ) - 天音さん» コメントありがとうございます!キバナさんだけでなく、夢主まで褒めていただいてすっごく嬉しいです!それに神作だなんて…本当に勿体無いほどの素敵な褒め言葉に感激です!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年5月7日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 最高でした…!!✨とても感動しました!キバナさん カッコいい…。夢主も カッコ可愛いい…!!!神作品!! (2022年5月7日 0時) (レス) @page44 id: c80b266ed1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!キバナのかっこよさにとても力を入れたのでそう言っていただけて嬉しいです!神作品だなんてそんな!私には勿体ないお言葉…感謝の気持ちで胸がいっぱいです!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年2月5日 0時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
- 自分ダンデさん推しだったけどこの作品を見てキバナさんもメッチャ好きになりました!!!これはもう神作品としか、言いようがありません!! (2022年2月4日 23時) (レス) id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - きいさん» コメントありがとうございます!貴方様のお言葉にホッとしました。この作品を書いてよかったです!最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年1月3日 0時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Omiso | 作成日時:2021年8月10日 1時

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