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31話 ページ32

「〜ッダンデ!!!」

「そんな大声で呼ばなくても聞こえている。今忙しいんだ。お引き取り願いたい」

「ッざけんな!お前、Aをどこへやった!!!」

「あぁ、心配には及ばない。彼女は疲れているようだからオレの方で当分面倒を見る。今人々が困惑して騒いでいるのもすぐに収める。だからここは全部任せてくれないか?」


淡々と話すダンデに苛立ちを覚える。かつてはこんな突き放すような奴じゃなかった。

だが、今はどうだ。Aのことになると人格が変わったようになっちまって。いい加減、正気に戻れよ。


「任せろ?じゃあ聞くがお前、それはAの意見ちゃんと聞いて決めたことか?」

「…」

「聞いてないよなァ。どうせ独断だろ。そうやってお前はずっとあいつの心の声を無視してきたんだ」

「違う」

「何が違うんだよ。じゃあ知ってんのか。Aがお前のせいで泣いていたことを」

「泣いていた?」

「そうだ。知らないだろ。泣いていた理由もあいつの弱い部分も何にも。それを教えてやることはしねぇ。自分で気づけ。でも、これだけは言ってやる。お前の傲慢さにAはずっと苦しめられてきたんだよ!」

「!…そうか。キバナ。泣いている彼女を君が気づいて慰めたってわけか。オレの代わりに。だから…か」


俯いたダンデは肩を震わせた。やっと分かってくれたか?____だが、違った。ダンデは怒りで顔を歪ませていた。


「いらないことをしてくれたな!君が何もしなければ彼女が本心に気づくことはなかった。自由を求めて飛びだとうとする愚かな夢に!それで泣いてただって?ハッ!彼女に涙なんていらない。慰めもいらない。誇らしげなチャンピオンに必要ない。それでも苦しいならそうさ。オレがずっと彼女を支える。君じゃない。だから素直にガラルでオレと朽ち果てるそんな選択を迷わずしてくれるチャンピオンが必要だったのに。キバナ。お前という存在が狂わせた。彼女の心も、オレの将来設計も全部!!!」


到底理解できないような御託を並べるダンデの姿に反吐が出る。あぁ、もう説得することはできないのか。目の前の男は聞く耳すら持たないというのか。


だが、俺だって主張を曲げるつもりは一切ない。


「そんな邪魔なキミを捩じ伏せて、叩き潰そうじゃないか。キバナ。さぁ、いつものように」


互いのボールが揺れて赤い光に包まれる。このバトルステージで決着をつける時が来たようだ。


「負けねぇーよッ…勝ってAを取り戻す!!!」

32話→←30話「お前の為ならどんなことも」



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Omiso(プロフ) - 天音さん» コメントありがとうございます!キバナさんだけでなく、夢主まで褒めていただいてすっごく嬉しいです!それに神作だなんて…本当に勿体無いほどの素敵な褒め言葉に感激です!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年5月7日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 最高でした…!!✨とても感動しました!キバナさん カッコいい…。夢主も カッコ可愛いい…!!!神作品!! (2022年5月7日 0時) (レス) @page44 id: c80b266ed1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!キバナのかっこよさにとても力を入れたのでそう言っていただけて嬉しいです!神作品だなんてそんな!私には勿体ないお言葉…感謝の気持ちで胸がいっぱいです!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年2月5日 0時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
- 自分ダンデさん推しだったけどこの作品を見てキバナさんもメッチャ好きになりました!!!これはもう神作品としか、言いようがありません!! (2022年2月4日 23時) (レス) id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - きいさん» コメントありがとうございます!貴方様のお言葉にホッとしました。この作品を書いてよかったです!最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年1月3日 0時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Omiso | 作成日時:2021年8月10日 1時

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