2話 ページ3
「おばさん!A借りていきます!」
「いってらっしゃい!Aも楽しんでくるのよ」
半ば拒否することも出来ずホップに外へ連れ出される。
「アニキすっげぇお前に会いたがっているんだぞ!」
その言葉に微妙になる気持ち。だけど、ダンデさんは私をチャンピオンとして祝ってくれる。それに素直に会いたいと言ってくれる人に対して「会いたくない」なんて思うのはいけない。
今から試合するってわけでもないんだから大丈夫だ。
ホップの手に引かれて彼の家へと足を進めていく。近所なのですぐに彼の大きな家が見えてきて、近づくほどに肉が焼ける香ばしい匂いがした。バーベキューをやっているのだろうか。
「アニキ!A連れてきたぞ!」
家に着いた先にいたのは、がっしりした体つきにいつものチャンピオン服ではないラフな黒いティーシャツを着た服装。そして、特徴的な菫色の長い髪はチャンピオンだった頃のままで…
ホップの言葉に振り向いた彼は、真っ先に輝いた金色の瞳を私に向けた。
「…Aくん、待っていたよ!」
ほんの一瞬だけその瞳はジッと私を捉えて離さなかった。目を背けたくなるような眼圧と何かしらの違和感と怖さに内心ビクビクしていた。
しかし、ニコリと目を細められればその瞳は隠れてしまって「アハハ!」と豪快に笑い手を広げながらこちらに歩み寄るダンデさんはいつも通り…って…
「!?ぐぇ」
口から蛙が潰れたような声が出たのは、がっしりとした腕にガバリと引き寄せられてギュウギュウに締め付けられたせいだ。目を白黒させて「苦しい!」と叫び思わず背中を叩けば解放される体。
「!すまない。随分とAくんと会うのを久しぶりに感じてね。といっても君とはこの前試合したばかりだというのに」
「またこうして会えて嬉しいよ」と眩しい笑顔と太陽のような温かさ。そこに怯える要素なんて何一つない。私が選手のときと同様に優しく見守ってくれる大人で尊敬する人。
「あらためてチャンピオンおめでとう!そんな君へオレからのプレゼントは高級肉のバーベキューだ!たくさん食べてくれ!」
ドン!と並べられた肉たちにごくりと喉を鳴らす。
その後はホップと肉の取り合いで引き攣っていた顔も次第に緩んで、いつのまにかホップとダンデさんに挟まれて笑っている自分がいた。
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Omiso(プロフ) - 天音さん» コメントありがとうございます!キバナさんだけでなく、夢主まで褒めていただいてすっごく嬉しいです!それに神作だなんて…本当に勿体無いほどの素敵な褒め言葉に感激です!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年5月7日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 最高でした…!!✨とても感動しました!キバナさん カッコいい…。夢主も カッコ可愛いい…!!!神作品!! (2022年5月7日 0時) (レス) @page44 id: c80b266ed1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!キバナのかっこよさにとても力を入れたのでそう言っていただけて嬉しいです!神作品だなんてそんな!私には勿体ないお言葉…感謝の気持ちで胸がいっぱいです!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年2月5日 0時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 自分ダンデさん推しだったけどこの作品を見てキバナさんもメッチャ好きになりました!!!これはもう神作品としか、言いようがありません!! (2022年2月4日 23時) (レス) id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - きいさん» コメントありがとうございます!貴方様のお言葉にホッとしました。この作品を書いてよかったです!最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年1月3日 0時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年8月10日 1時