12話 ページ13
私はダンデさんからチャンピオンとしての実感を強く持てと言われているのだ。
「きっとこの先オレは口煩いほど君に多くのことを教えて学ばせていこうとする。子どもである君がチャンピオンとしてどう社会で振舞っていくか。どう生き抜いていくか。どう強くいられるか…だから、意地悪と感じる厳しい言葉や慈悲のないこと、プライベートでも口を挟んで不愉快にさせるかもしれない。今回のように…キバナといることに対しても。でも、それでもお願いだ、Aくん」
後ろから腕がお腹に回されて優しく包み込むように抱き締められる。
「何度も言うが、信じてオレについて来てくれ。オレが君を最高のチャンピオンとして生涯において立たせてみせる。それをずっとオレが支えてみせるよ」
頼もしい言葉。だけど、それとは裏腹に私の意見を通さない一方的で束縛的な言葉。
それを否定できるほどの力も歳も経験も持ち合わせていない私はもう…ッ…頷くこと以外の選択肢はない。
今日、自由を感じて新たに自身の夢を追うことを求めてしまったことには蓋をせざるを得ない。そっと目を閉じて今日の出来事を思い返す。
…あぁ、それはもう楽しかった。またチャレンジャーの時のような開放感に溢れた日々に戻れた気がして。
でも、それはひとときの夢だったんだ。
青空が広がり、そよ風が吹いて、私のポケモン達が駆け回り、隣を見ればヘラリと笑うキバナさんの綺麗な笑顔もぜんぶぜんぶ…夢だったんだ。
夢心地に浸る時間は終わった。閉じていた目を開けてみればこちらを見つめるダンデさん。そんな彼に
「はい、今後ともよろしくお願いします」
そう答えた声は震えていた。目元が熱くなりグッと込み上げるものを抑えては両手で顔を隠した。
私は、ずっと貴方の前じゃ泣きそうな顔をしている。
それでも、そんな私を見てもなおダンデさんは満足そうに笑みを浮かべ続けるのだ。
「分かってくれればいいんだ。無知なチャンピオン」
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Omiso(プロフ) - 天音さん» コメントありがとうございます!キバナさんだけでなく、夢主まで褒めていただいてすっごく嬉しいです!それに神作だなんて…本当に勿体無いほどの素敵な褒め言葉に感激です!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年5月7日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 最高でした…!!✨とても感動しました!キバナさん カッコいい…。夢主も カッコ可愛いい…!!!神作品!! (2022年5月7日 0時) (レス) @page44 id: c80b266ed1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!キバナのかっこよさにとても力を入れたのでそう言っていただけて嬉しいです!神作品だなんてそんな!私には勿体ないお言葉…感謝の気持ちで胸がいっぱいです!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年2月5日 0時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 自分ダンデさん推しだったけどこの作品を見てキバナさんもメッチャ好きになりました!!!これはもう神作品としか、言いようがありません!! (2022年2月4日 23時) (レス) id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - きいさん» コメントありがとうございます!貴方様のお言葉にホッとしました。この作品を書いてよかったです!最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年1月3日 0時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年8月10日 1時