10話 ページ11
「こんなに沢山…ありがとうございます!」
「いいんだよ。お前を甘やかすのは俺さまの特権なんだからな」
フフンと自慢げに笑うキバナさんは楽しげで私もつられて笑う。だけどこんなに沢山食べきれない。それなら…
「キバナさんもケーキ一緒に食べましょ!これから私の家でどうです?」
そう誘えば「おー!いいな!」と軽く了承してくれたと思いきや、少し考えるような素振りをしては
「…お前、あんまそうやって男をホイホイ誘うなよ?俺さまだからいいものを心配になるな」
「信頼してる人しか誘いませんよ。それにそんな軽い女じゃありません」
といえばブハッと笑って「まぁ、お前みたいなガキンチョ相手にしねぇーな」と余計な一言にブスリと不貞腐れる。「拗ねんなよ」と頬をツンツンと突いてくるキバナさんに「やめてください」と抵抗してはこうして気楽に戯れ合う時間も楽しかった。
_____だけど、それはいつまでも続かなかった。
突如として上空からバサリと羽ばたく音が聞こえて風が起こり、ブワリと髪が舞い上がる。
ハッとして上を見れば月の光に照らされ、影を作ったリザードンの姿。その背中には言わずもがなあの人がいて…
「Aくん、随分と探したよ」
輝く金色の瞳は冷たくこちらを見下ろして私を捉えて離さない。
「ダ…ンデさん…」
ふわりと舞い降りたリザードンからストンと降りてツカツカと靴を慣らして私の前に来れば、ガッと手首を掴まれた。
「今すぐ君を拠点まで送っていこう」
何でここに、何でわざわざ私を迎えに、何でそんなに怒っている表情を…聞きたいことは沢山あった。
なのにこの人の前じゃどうしてだろう。息が詰まって上手く言葉にして吐き出せない。
そんな情けなくて苦しくて抵抗も何も出来ない私を、
「おい、ちょっと待てよ」
反対の手首を掴んで引き止めてくれたのはキバナさんだった。
「おいおい、ダンデ。ライバルであるキバナ様に挨拶の一つもなしかよ。それにAはなぁ、今から俺と予定があるんだよ。それを何なんだお前。急にAを連れ出そうとして。理由もなしにあんまりじゃねぇーか?」
全てを代弁してくれたその言葉にホッとする。しかし、ダンデさんは無言でスマホロトムを出して私たちに画面を見せた。
そこには、私たちがツーショットで撮られている写真が記事としてデカデカと取り上げられていた。
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Omiso(プロフ) - 天音さん» コメントありがとうございます!キバナさんだけでなく、夢主まで褒めていただいてすっごく嬉しいです!それに神作だなんて…本当に勿体無いほどの素敵な褒め言葉に感激です!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年5月7日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 最高でした…!!✨とても感動しました!キバナさん カッコいい…。夢主も カッコ可愛いい…!!!神作品!! (2022年5月7日 0時) (レス) @page44 id: c80b266ed1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!キバナのかっこよさにとても力を入れたのでそう言っていただけて嬉しいです!神作品だなんてそんな!私には勿体ないお言葉…感謝の気持ちで胸がいっぱいです!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年2月5日 0時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 自分ダンデさん推しだったけどこの作品を見てキバナさんもメッチャ好きになりました!!!これはもう神作品としか、言いようがありません!! (2022年2月4日 23時) (レス) id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - きいさん» コメントありがとうございます!貴方様のお言葉にホッとしました。この作品を書いてよかったです!最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年1月3日 0時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年8月10日 1時