気づいた時にはもう遅いから【呪術廻戦】

23話 ページ23

「わ、分かりました…じゃあまたアドバイスお願いできますか」


そう答えれば鋭い眼差しは途端に柔らかくなり、


「勿論！私のこと信用してくれて本当に嬉しいよ」


握られていた手が離れたかと思えば、たくましい腕が背中に回されてガバリと力強く抱き締められる。


「ちょ！？…ッ先輩、くるし…「あ、ごめん。つい」


パッと離れては悪気が無さそうにハハッと笑う先輩。その姿に私がアドバイスを了承する前の必死な様子はもうない。

絶対最初から確信犯だったよね…なんていう文句は言えるはずもなかった。


「じゃあ、あらためて四つ目のアドバイス。Aちゃんは悟と少し距離を置くといい」

「距離を置くですか…」

「そうだよ。まぁ、避けるっていう方がいいかな」


つまり五条先輩と関わることなく過ごすということ。確かに今はギスギスしているし妥当な判断なのかもしれない。

だけど、私の気持ちとしてはここで距離をおけば根本的なことは解決しないと思うし、最悪溝がさらに深まる気がする。だから、


「あの先輩、アドバイスもらった上でなんですが、私的には五条先輩とちゃんと話してみたいと…」


そう意見を言ってみるものの先輩はキョトンとして


「なんで？私のアドバイスがダメっていうのかい？」

「ッいや、別にそういうわけじゃ…」

「なら、アドバイス通りにしたらいいじゃないか」


思わず顔が引きつってしまう。

夏油先輩ってここまで強引な人だったけ…と戸惑っていると両肩をガシリと掴まれて


「Aちゃんは何も考えなくていいんだよ？ただ私のアドバイス通りにすればきっと上手くいく。私もそうするように努力するし…"先輩"の言葉、まだ信じられない？」


先輩という上下関係の言葉を強調されてしまったらもう何もいうわけにもいかない。


「いえ…じゃあ夏油先輩のアドバイス通りにします」

「分かってくれてよかったよ！そうした方がいいに決まってるんだから。ね？」


だからそんな不服そうな顔しないで とムニィーと頬を伸ばされる。

！そんな顔に出てたかな。いつものように無表情でいたつもりだったんだけど…というより痛い。

そんな私の心情を知ってか知らずか先輩はクツクツと喉を鳴らして、私の頬を突いたり、伸ばしたりしては


「Aちゃんって案外分かりやすいよ？悟がきっと鈍いだけで。それとも…私がよくAちゃんを見てるからかな」


サラリと呟いたその言葉にピシリと体は固まった。

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