11話 ページ11
夏油サイド
教室を先に出る彼女を見送り、後から出て自分の部屋へと戻るために廊下を歩くが止まる足。
自身の手に目を落とせばニヤニヤと止まらない頬。手に残る彼女の温もり。
可愛い可愛いAちゃんのちっちゃな手。可愛すぎて危うく握り潰すところだったよ…ッ…
また荒くなりそうな呼吸をグッと堪えては前を見る。すると、廊下の先の方に少し服を汚している悟の姿。
あぁ、最近放課後は任務づめなんだよね。そう私が仕向けたんだけど。
見ていれば視線でこちらの存在に気づいたのだろうか悟はズンズンと近寄って来て
「話あんだけど」
きっと今日のAちゃんの変わりようについてだろう。
「いいよ、じゃあ教室へ移動するかい?」
「…」
無言は肯定と受け取り、自分たちが日頃過ごす教室へ向かい席に着く。
しばらく黙り込み俯く悟だったが、不意にバッと顔を上げてうげぇと舌を出して心底うんざりした顔をし
「今日のAなんなんだよ。心底がっかりしたわ」
「…それはどういう意味だい?」
「アイツにさ、いつものように抱きしめて構えよつったら いいよ って甘えた顔と声で俺の方見てきて…今までの媚び売ってくる女と一緒。それに撫で声で鳥肌たったわ。ほんと…はぁー、まじかよ」
そう吐き捨てるようにいい、あ゛ーとムシャクシャした声を上げて机に顔に伏せる彼はよっぽど苛ついているらしい。
「君は極端に好意を寄せてくる女の子が嫌いだったね」
「もう飽きたんだよ。俺の顔ばっかり見て好意を寄せる女は。Aは違うと思ったのに」
悟は好意を寄せる=顔しか見てないと思い込む節があるよね。今までの経験からそうなるのも仕方がない。
だけど、Aちゃんはきっと素直な子だからそれだけじゃないだろうに。顔だけなら入学式で会った当初から君にあからさまな態度をとっていただろう。
そんなことも気付かずに勇気をかけて行動を起こした彼女のことを他の女と一緒と決めつけるなんて。ほんと単純で残酷だね。
まぁ、それが私にとって都合がいいんだけど。
「まぁ、まだ分からないだろ?後数日ぐらい様子を見ればいい。悟だっておもちゃがなくなるの嫌だろ?」
「…それもそうだよな。分かった。そうするわ」
残りの日数でもっと彼女との関係が拗れるように仕向けてあげるから、より彼女を嫌って、突き放せばいい。彼女の魅力に気づかない哀れなままでいてくれ。
Aちゃんが大好きなのは私だけでいいんだよ。
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» 前作でも今作でもコメントありがとうございます!ドロッドロという素敵な褒め言葉、最高に嬉しいです!心情は特に意識しているのでそう言って頂けて光栄に思います!次回作を出せれた時はぜひ応援よろしくお願いします!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ドロッドロでおっもい(超褒め言葉)好み過ぎる作品をありがとうございました! 前作も読ませて頂きましたが、どちらも心情描写が堪らなく好きです。作者様のペースで新しい作品を作って頂ければ飛びつきます。本当にありがとうございました。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ノアさん» 最後まで読んで下さりありがとうございました!いつもは今までの作品も読んで下さっていたのかな?今作も読んで頂き嬉しい限りです!世界観を味わってもらうよう文は意識しているのでハラハラしたという感想を頂けて大満足です!今後とも応援よろしくお願いします! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - muuさん» muu様!またのコメントありがとうございます!そして最後まで読んで下さりありがとうございました!憧れである貴方様に素敵な褒め言葉を頂けて感涙してしまいそうです(泣)いつも影ながら応援しています!そしてこの作品を応援して下さり本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 虹野原さん» そして貴方様のような素敵な方に読んでもらえて心の底からこの作品を作ってよかったと思います!今後においてまた作品を作る機会では貴方様の応援を糧に全力で頑張ります!本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年2月6日 18時