45話「The chain of curses named love never stops」END ページ45
決着はついた。
片腕を失くした夏油は最後の力を振り絞り、唯一使役している彼女に寄り掛かり抱き締める。
「ごめんね。私が深傷をおってしまったばかりに負けてしまった」
彼女は何も答えずただ抱き締められるまま。それでも夏油は満足そうに笑みを浮かべる。
「未来を変えるということは叶わなかったけど…Aと一緒に逝けるのならこの上なく幸せだよ」
その傍で親友の死様を眺める五条はグッと顔を歪める。
「お前…Aまで道連れにするつもりか」
「そうだよ。彼女とは命を懸けた縛りを設けたからね。私とAは逝くのも一緒だよ。そう、悟…君にも渡さない」
「〜ッ」
見抜かれていた彼女への恋心。そして彼女を想う夏油の底知れぬ重さに恐怖を抱いた。
しかし、どちらにしたって彼女がやっと呪縛から解放されるならこのままほっとけばいい。
そう割り切ろうとするが夏油の腕の中には生前と変わり得ない彼女の姿。
呪霊と思えないほど恋しく美しい彼女がそこにいる。
「…」
親友がもう息絶えそうな中、彼女も共に体が崩れていく。
その光景を青い瞳はただジーッと彼女だけを捉え見つめ続ける。そして不意に
何かがプツリと切れた。
「…傑、お前のやった事は許さない。この街の人々を虐殺し、取り返しのつかない事をした。そして何よりAを縛り付けたこと」
「あぁ、そうだろうな。許されなくても別に…「でも、ごめんな。俺も同じことするわ」
被せられたその発言に夏油はピシリと固まる。
「は?一体何を言って…」
「お前がAを縛ったように俺もAを縛るんだよ。言葉という想いでな」
「ッそんなことできるわけないだろ!?」
「やってみなきゃわかんねぇーよ」
「…ッ勝手にすればいい。私たちの縛りは君の安っぽい恋心で引き裂けるわけないのだから」
「あ゛?安っぽい恋心?お前よりかはずっとAを想ってた。知らない男と結ばれるのも幸せを願って黙っていたのに…あ゛ぁ、全部全部お前のせいで我慢できなくなったんだよ…ッ…!!!」
蓋をしていた想いが溢れかえるように止まらなくなり、彼女を繋ぎ止める呪いの言葉を勢いで吐いた。
「A、逝かないで。これからは俺と一緒にいて」
解放するという本来の目的を忘れ、五条は正しい判断や理性よりも
彼女を取られたくない、彼女に側にいてもらいたい、彼女への独占という名の欲望が勝った。
すると、彼女は閉じかけていた目を見開いてはユラリと立ち上がった。
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Omiso(プロフ) - てんぎつね。さん» コメントありがとうございます。そう言われて実際自分でやってみたんですけど想像以上に痛いですね(笑) (2021年7月28日 23時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
てんぎつね。 - いや親指は反り返したら痛い (2021年7月28日 23時) (レス) id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - るりさん» るり様、コメントありがとうございます!貴方様のお言葉に嬉しさで胸がいっぱいです!そして、貴方様の作品を読ませて頂いております。今後の更新楽しみにしています!応援ありがとうございます!貴方様にも私からのエールを。 (2021年6月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 最高な作品をありがとうございます。ほんとにその場にいるような臨場感や、細かく描かれる表現方法であっというまに読んでしまいました。これからも作品楽しみにしています! (2021年6月5日 11時) (レス) id: 82fe86bccf (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» コメントありがとうございます!読者様がゾクゾクするようなホラー×ヤンデレを感じて頂けていたらと思います!夏油の術式を上手く活かせることを目的にしていたので貴方様の褒め言葉本当に嬉しく思います!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2020年12月17日 19時