最愛の死から生まれた憎悪を愛にしよう【呪術廻戦】

31話 ページ31

貴方サイド


2017年2月11日現在


ふと瞼を開けて目の前の鏡に映る自分を見ると

美しいウエディングドレスを着て心なしか幸せそうに微笑んでいる。

手元にあるパンフレットを開き、結婚式会場の写真に視線を落とす。

山奥にある綺麗な教会。こんな素敵な場所で式をあげられること本当に嬉しく思う。

ピコン！と突如、通知音がして化粧台の上に置いてある携帯の画面には

「五条悟」から一通のメッセージという文字。


「(お前が結婚するとか生意気)」


あまりの素っ気なさにすぐに携帯画面をタップして返事を書く。


「("数十年ぶり"の後輩からの連絡に驚いてくださいよ。しかも今から結婚式をあげる人にその言葉は酷いです)」


送信すると、数分も経たない内に返ってきて


「(急に連絡が来たこっちのこと考えろ。連絡先交換してから今日まで何も送ってこなかったくせに。しかも来たかと思えば結婚？突拍子もなくてわけわかんねぇーよ。バーカ)」


相当不機嫌な五条先輩の顔が脳裏に浮かぶ。

本当は今まで何度か連絡しようと思ったけど何処か気まずくて数十年間ほったらかしだった。キレられても仕方がないか。

そう思い直していると携帯がブルブルと震え始める。

え、電話かけてくるの？！ちょ、心の準備が…ッ…ええい、もう出てしまえ！と画面をタップすると


「…よぉ、久しぶり。クソ生意気な後輩が結婚とは。お前を好きになる奴がいるなんて世も末だな」

「突然の悪口やめてください。先輩は相変わらずですね。私はもう大人だから何も言い返さないですよ」

「はぁ？一丁前に結婚するからって調子のんな」

「…それは悪かったですね」


下手に出ると 少しは丸くなったんだな と鼻で笑う先輩に もう… と返せば互いにクスクスと笑い合った。

そこからダラダラと高専時代の思い出話をしているとふと脳裏に浮かんだある人物。


「…あ！夏油先輩元気にやってますか？」


必ず最愛の人を見つけて幸せになってね と約束を取り付けてきたあの人。

まぁ、数十年の月日が経ってるし、それに結婚式の会場に姿はない。私に最愛の人ができたら呪霊を通して伝わるとかいってたのにな。

…というか中々私の質問に五条先輩が答えないんだけど。

五条先輩ー？と試しに呼び掛けるとしばらくの沈黙後


「…傑はもういねぇーよ」

「？！え…もしかして…」


殉職したのかと思ったら五条先輩は 殉職ではない と先に答えあとからポツリと


「アイツは呪術師でもなんでもない。呪詛師だ」

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