28話 ページ28
本当にやめる手伝いしてくれるんだ…じゃなくて昨日の喧嘩のこと聞く?いや、掘り返す必要もないか。
「行きますからそんな引っ張らないでください。あと無断で女子寮来たらダメです」
「お前女子だっけ?」
「は?」
「あ゛?」
「すいません」
「雑魚」
相変わらずな私への態度にイラついたものの、その後の退学の手続きは先輩のおかげで苦労しなかったから許そう。
「よかっな、あっさりやめられて。そもそもお前雑魚すぎて必要なかったからか」
「はいはい、そうですね」
「適当かよ」
既に空は日が沈みかけて夕陽が射す中、荷物を詰め込んだ鞄を片手に高専の出口まで向かう。
そして私は門の外に、五条先輩は門の内側で立ち止まった。沈黙が流れる中、しばらくして五条先輩が
「ずっと気になってたことがあんだけど」
「なんですか?」
「それ、肩についてる気持ち悪い呪霊なんだよ」
うえっとする顔に失礼なと思いながらも夏油先輩の呪霊だと分かった。
「払ってやろうか?」
「いえ、これはその…大丈夫です!」
「何が大丈夫なんだよ。後になって厄介になっても知らねぇーぞ」
「お守りみたいなものなので厄介にはなりません」
そうお守り…なのか?どちらにせよ夏油先輩との二人だけの約束だし細かいことは五条先輩に言えない。
「ま、見たところただの雑魚すぎる呪霊だからな。せいぜいそいつの重さに肩こりで悩まされろ」
「いや、普通にひどいです」
うぅと泣き真似をすると、突然ズイッと目の前に先輩の携帯が出される。
「なら、肩こりに耐えられなくなったら連絡しろよ」
ん?どういうこと?と固まっていたら無言で携帯を奪われ、勝手に操作されたあと返された。
画面を見ると連絡先に五条悟という名前。
え と見ればそっぽを向く五条先輩に次第にニヤニヤと頬が自然と緩む。
「あら、先輩。可愛い後輩が去るのが寂しかったんですね。うふふ、仕方がないですね。連絡先は残しておきましょう」
といいきった瞬間に拳骨が飛んできた。突然の激痛に頭部を押さえていると、早く行けよ!と思いっきり背中を押された。ほんと、照れ屋さんなのね。
そんな先輩にも最後ぐらいお礼は言っておこう。
「本当にありがとうございました。ここで過ごした時間は正直辛すぎて吐きそうだったけど先輩方と出会えたのでよかったです。ここにいない夏油先輩や硝子先輩にも伝えておいてください」
では!と告げて、決して振り返ることなく高専を後にした。
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Omiso(プロフ) - てんぎつね。さん» コメントありがとうございます。そう言われて実際自分でやってみたんですけど想像以上に痛いですね(笑) (2021年7月28日 23時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
てんぎつね。 - いや親指は反り返したら痛い (2021年7月28日 23時) (レス) id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - るりさん» るり様、コメントありがとうございます!貴方様のお言葉に嬉しさで胸がいっぱいです!そして、貴方様の作品を読ませて頂いております。今後の更新楽しみにしています!応援ありがとうございます!貴方様にも私からのエールを。 (2021年6月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 最高な作品をありがとうございます。ほんとにその場にいるような臨場感や、細かく描かれる表現方法であっというまに読んでしまいました。これからも作品楽しみにしています! (2021年6月5日 11時) (レス) id: 82fe86bccf (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» コメントありがとうございます!読者様がゾクゾクするようなホラー×ヤンデレを感じて頂けていたらと思います!夏油の術式を上手く活かせることを目的にしていたので貴方様の褒め言葉本当に嬉しく思います!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2020年12月17日 19時