16話 ページ16
貰った飲み物を片手にまた教室へと戻る。
突然来た五条先輩のせいでカバンは教室に置きっぱなしだからだ。
ま、奢ってくれたから許すけど。何気にこのジュース高いし。
珍しいこともあるんだなぁ と思いながら着いた教室の扉を開けると、目に飛び込んできた光景に思わずギョッとした。いや、だって…え?
「お帰り。どこに行ってたんだい?待ってたんだよ」
私の机に腰をかけながらヒラヒラとこちらに手を振る夏油先輩の姿。
なんで放課後に二度も先輩に絡まれるんだ。
放心する私に夏油先輩はコチラに歩み寄っては おーい と目の前で再び手を振る。その手にやっと意識は夏油先輩に向く。
「えーと、私に何か用でもありましたかね…」
「喧嘩を止めてくれたお礼を言いにきたんだ」
といって目の前に差し出された物はリンゴジュース。
「確かよく好んで飲んでいただろ?お詫びの品として受け取って欲しいなって…あれ?」
ふと私の手元にある飲み物の存在に夏油先輩が気付く。そう、五条先輩と貰ったものと全く一緒なのだ。
「あー、えっと、これは…」
さっと慌てて後ろにジュースを隠す。
せっかく貰えるというのに 五条先輩から喧嘩のお詫びは既に貰いました! とか言ったら「じゃあもう私が詫びる必要ないね」とか言われて貰えなくなるかもしれないじゃない!
「もしかして自分で買ってきたのかな?」
「そ、そうです!喉渇いちゃって…」
咄嗟に嘘をついてしまった。だけど、その目の前のジュースがどうしても欲しいんだな。
「でも私の為に買ってきてくれたんですよね?是非受け取らせてください!!!」
我ながらになんというおこがましさ。いや、このリンゴジュースまじ高いんだって。濃厚果実100%のせいで自動販売機で250円。地味に自分で買いたくない値段だよね。
「あ、あぁ。ならどうぞ」
少し引き気味に渡してくれたジュースを貰い受ける。
「ありがとうございます!ほんと夏油先輩のその気遣いさに感服です!!」
「いや、そんな大袈裟な」
謙遜するところも五条先輩と比べれば尊敬できます。そんな夏油先輩に何度も頭を下げては二ヒヒと溢れる笑み。これで高級ジュースが二本手に入ったぜ。
よし、頭を下げるのはここまでにしてさっさと自分の部屋に戻ろうか。
「では先輩!良い放課後を」
と伝え教室を出て行こうとする。
だけど、それを阻むようにパシリと手首を掴まれて
「A、もしかして私に嘘をついているんじゃないか?」
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Omiso(プロフ) - てんぎつね。さん» コメントありがとうございます。そう言われて実際自分でやってみたんですけど想像以上に痛いですね(笑) (2021年7月28日 23時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
てんぎつね。 - いや親指は反り返したら痛い (2021年7月28日 23時) (レス) id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - るりさん» るり様、コメントありがとうございます!貴方様のお言葉に嬉しさで胸がいっぱいです!そして、貴方様の作品を読ませて頂いております。今後の更新楽しみにしています!応援ありがとうございます!貴方様にも私からのエールを。 (2021年6月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 最高な作品をありがとうございます。ほんとにその場にいるような臨場感や、細かく描かれる表現方法であっというまに読んでしまいました。これからも作品楽しみにしています! (2021年6月5日 11時) (レス) id: 82fe86bccf (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» コメントありがとうございます!読者様がゾクゾクするようなホラー×ヤンデレを感じて頂けていたらと思います!夏油の術式を上手く活かせることを目的にしていたので貴方様の褒め言葉本当に嬉しく思います!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2020年12月17日 19時