2話 ページ3
食堂で楽しそうにケラケラ笑っているあの人の姿を平気な顔して見ることなんてできなくて、お昼ご飯をほとんど食べずに飛び出してきてしまった。
そのまま駆け足で中庭へ向かい、ある木の影に座り込んで顔を隠すように膝を抱える。
ここならきっと誰も来ない。みんな今頃食堂でお昼ご飯を食べている頃だから…
弱音を吐いても誰にも馬鹿にされない。
「ーーッなんで…」
怒り、悲しみ、妬み…あの人への感情はポロポロと流れる涙を止めることを許さない。
私だけが貴方のことを引きずっていて、思い悩んでひどく苦しい。
こんなに辛くて、嫌な思いをするぐらいならいっそのこと…
「貴方のことを忘れられたらいいのに」
「へぇー！誰のことを忘れたいんだ？」
突然の声に え とバッと顔を上げるとニコニコと楽しそうに笑う男子生徒がいた。
白い髪に、クリッとした赤い瞳。そして、腕にスカラビア寮の紋章を付けているこの人は確か…
「カリム・アルアジーム？」
「お？俺のこと知ってんのか！というかそんな堅苦しく呼ぶなって！カリムでいいぞ！」
眩しいぐらいの無邪気な笑顔を私に向ける。
そんな彼を見ていたら涙なんて引っ込んで、キョトンとしていると
「おい、カリム！！たく何やってだか…って君は…」
カリムさんに駆け寄るように後から来た男子生徒。
この人もスカラビア寮の紋章を腕につけていて、切れ長の目がこちらに向けられる。
「えっと、私はオンボロ寮の生徒で…」
「…！なるほど。君がそうなのか。俺はジャミル・バイパー。スカラビア寮の副寮長だ」
まぁ、ジャミルでもなんでも適当に呼んでくれ という彼は確か二年生で私の一個上だ。
そして、まさか副寮長とは…
スカラビア寮をまとめるすごい先輩たちとこんなところで出会ってしまうなんて。
ほへーとその2人を交互に見ているとブッと突然笑い出したジャミルさん。
「なんだ、その顔は…ッ…クッ…」
間抜けな顔 とボソリと呟いた声がしっかりと私の耳には届いて
「なっ！"初対面"なのになんて失礼な！」
勢いよく立ち上がりジャミルさんに詰め寄ろうとするとバッとその前に私の前に立ち塞がるカリムさん。
「なァ！せっかくの出会いだ！今日の放課後俺の寮に来てみろよ！な？」
突然のスカラビア寮長からの誘いを受けたのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 925人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Omiso(プロフ) - viviさん» コメントありがとうございます！こちらこそ素敵なコメントをいただけてとても嬉しいです！寿命が伸びた！？(笑)貴方様の生きる糧となれたのなら作者にとってこの上ない喜びです😭最後まで読んで下さりありがとうございました！ (2022年12月1日 23時) (
レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
vivi - もう素晴らしすぎてなんて言ったらいいかわからないんですが、素敵な話を書いてくださってありがとうございます！寿命が延びました・・・ (2022年11月29日 3時) (レス) @page49 id: 812c94a5c4 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - セツナさん» コメントありがとうございます！ジャミル推しちゃいますよね😊わぁ！素敵な作品だと言って下さった上に神作だなんて(照)すっごい嬉しい褒め言葉！本当にありがとうございました！ (2022年2月22日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
セツナ(プロフ) - あ゛あ゛あ゛あ゛！ジャミル推しなのでこんな素敵な作品に出会えて嬉しいです！！神作ですね！？ (2022年2月22日 6時) (レス) id: 2ea77c9340 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ジャスミンさん» コメントありがとうございます！そういって頂けてとても嬉しいです！是非リクエストに応えたいのですが、今「活動休止中」ということでしばらく小説を作るつもりはないんです…またの機会によろしくお願いします！ (2021年9月8日 16時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Omiso
| 作成日時：2020年6月27日 23時
