21話 ページ21
弔の顔が近づいたかと思えば、唇には柔らかい感触。
「〜ッ！？」
バッと顔を背けようとするが、ガッと顎を掴まれて固定される顔。
「逃げようとするな。なぁ、A。人の気持ちってそう簡単に変わらないと思うんだ」
ジッと見つめられ、私の目を貫く紅い瞳。
「お前は俺から離れられない。今だってお前は俺から目を背けられない。それに…
さっきの口付けだってお前はどう思った？」
そう聞かれてふと頭に浮かんだ気持ちは
喜んでいる自分がいる
という事実。
だけど、認めたくない。
自分を道具としてしか見てない彼を未だに好きだなんてそんなこと…！
「…たく、素直になれよ」
ガッと引き寄せられたかと思えば乱暴に口を重ねられる。
そして、何度も角度を変えて、グチャグチャにねじ込まれる柔らかい舌。
空気が吸えない、熱すぎる体温。
全てが突然のことで、慣れなくて、苦しくて…
視界が涙で滲み始めると、やっと離れる弔の唇。
「こういうことがしたかったんだろ？満足か？」
違う…そんな冷めきった目で、愛情もない口付けをされたって何も満たされない。
「これから相手してやるよ。なんたってお前は俺にとって大切な駒だからな」
口の端から滴る涎を拭き取られ、覆いかぶさられる。
「存分に可愛がってやる。お前が望むように俺をお前にくれてやる。ただし、お前は一生俺だけのモノになれ」
望んでいなかった。こんなこと。
本当は、彼にとってただの駒だったなんてことも知りたくもなかったというのに
ならいっそ、知らないまま一方的に想っているほうが幸せだったというのに…
「愛してやるよ。この時だけはお前をな」
彼は私の気持ちを繋ぎとめて、離してくれないの。
私を押し倒し、上から見下しニヤリと笑う表情。
そっと体の輪郭に沿って撫でられる感触。
この時、この瞬間、酷く悲しみが襲う一方で
私の服に手をかけていく彼を止めることはできずに、
受け入れ、彼の背に腕を回し抱きしめる自分がいた。
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» わわ、緑の白猫様！今作でもコメントありがとうございます！ヒロアカの小説まで読んでいただけて感激です😭かなり納得した終わり方を書けたつもりなので貴方様からの最高の褒め言葉をいただけてとても嬉しく思います！本当にありがとうございました！ (2022年2月7日 0時) (
レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - はっぴーえんどだ……。私が知っている作者様の中の作品で初めてみたはっぴーえんどだ……! 主人公が初めからちょっと可笑しいのがまた新しく感じ、最終的にヒーロー側につくとはまた違う、正しくはないかもしれないが幸せな道を選んだのが最高でした! (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - あゆりさん» コメントありがとうございます！1番好きだなんて…最高の褒め言葉です！死柄木くんの沼によりハマってしまいましたか。よっし、この調子だ()本当にこの作品を読んでくださりありがとうございました！今後とも応援よろしくお願いします！ (2020年5月16日 12時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
あゆり(プロフ) - 今まで読んできた作品の中で1番好きです！！Omisoさんのおかげで、もっと死柄木くんの沼にハマりました()これからも応援しています！ (2020年5月16日 11時) (レス) id: ce98ce751c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます！！本当に嬉しすぎるお言葉に喜びで胸がいっぱいです！また貴方様を楽しませる作品を作れたらいいなと思います！！今後とも応援の方よろしくお願いします！！ (2020年4月3日 7時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Omiso
| 作成日時：2020年2月10日 22時
