【WT】花天月地Ⅱ【Smile】 (ページ6)

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『むやみに触ったり食べたりしないでよ。赤い茸は毒あるんだから』

「こんな野に生えてる茸なんて食べないから。写真に収めるだけ！」

『はいはい・・・』

私もよく図鑑などで見るベニテングタケはこうやって直で見る機会なんてなかなか無かったと思うので、凛と同じ様に写真に収めた。

途中も何度か写真を撮って帰り、コースを下って行く。
出口には銀杏並木があるのだが、まぁ季節も季節。とても匂いがキツい。
綺麗ではあるし好きなのだが、こういう匂いはあまり好きではないので、直ぐに離れる。

近くで見ても綺麗だったが、遠くから見ても綺麗。

「綺麗だった〜！次は椿とか咲いてる冬に見に行こ！」

『見たいけど・・・寒いからやだ。
行くとするなら一番花が咲いて綺麗な季節の春にしよう？』

「・・・Aがそう言うならいいよ」

凛は｢いいよ｣などと言いながらも表情は不服そうな感情が読み取れる。

『機嫌悪いの分かるからね』

「ごめんって！でもどんな季節でも植物ってやっぱり綺麗でしょ？」

『なに急に・・・まぁそうだけど。何が言いたいの・・・』

「植物も恋する乙女も綺麗って事！」

植物の話してたのになんで恋する乙女とか出てくるんだ・・・
全く関係ないじゃん・・・

『恋する乙女はどこから・・・』

「A分かってないの？
つまりAは高嶺の花って事が言いたいの」

『・・・ふーん』

私のどこをどう見たら高嶺の花なの・・・
私から見れば凛の方が圧倒的に可愛いし、性格も優しい性格。欠点なんて見つからない。

対して私は凛より可愛くないし、初対面の人とはあまり話すことが出来ない。
私なんてただの落ちこぼれにしか過ぎない。

「他人と比べたり自分の事を落ちこぼれなんて言わないの！そんなに自己肯定感が低かったら恋なんて叶わなくなっちゃうよ？もっと自信を持って？」

凛の言うとうり。そんな事でめそめそして諦めてたらいつまで経っても好きな人に振り向いて貰えない。
そんな事をしている間に好きな人に彼女なんて出来たらそうそう立ち直れなくなると思う。

『“もう少しだけ”頑張ってみる』

「頑張れA！！」

友人と休日に紅葉を見に行った日、私は決めました。
私はもう少しだけ、恋を続ける事にしました。
諦めるのはまだ早いから。
結果なんて分かんない。振られるかもしれない。
それでも私は今日も彼に恋焦がれます。