【WT】花天月地Ⅱ【Smile】 (ページ22)

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凛の家に酒を貰ったところで、調理開始。
アク抜きして水気に軽く絞った土筆を鍋の中に入れ、みりん、醤油、砂糖、酒を同じくらいの分量を土筆が浸る程度に入れる。

そして先ずは中火で、くつくつと湧いてきたら弱火でじっくり煮込んで完成。
多分十分に加熱したからアルコールは入ってないかな？
空気はアルコール臭いけど。
換気扇回そ。

味見も少ししたが、丁度いい甘さと塩気が口に広がってくる。

まぁ例のごとく作り過ぎてしまったので、何個かのタッパーに佃煮を詰め込んで近所の人や凛におすそ分けするとしますか。

詰め込んだ結果、タッパーは6個程の量だった。それにプラスして私の分のタッパー1個分を含めると7個分に相当する。
私どれだけの土筆をあの道端から採ってきてたのよ・・・

これは作り過ぎの度合いでは無いだろう、と考えながら近所の人に佃煮をおすそ分けしに外に出る。

先ずは私の家から見て真正面に住んでいる紫苑さん、もとい笑琉に渡しに行く。
玄関前に立ち、呼び鈴を鳴らすと少ししてからドアが開き、そこから笑琉が顔を覗かせていた。

「どうした？」

『土筆の佃煮作り過ぎたから近所の人に配ってる』

「まぁそりゃあんな量採ってたら必然的に作り過ぎるわな」

『味見したら私は丁度良かったけど口に合うかは分かんない』

「・・・ありがとな。でもA料理上手いから大丈夫だろ、そんなに心配すんな」

『そうかぁ。ありがとう、良かったら感想頂戴よ』

「・・・あぁ」

じゃあ次伺う所あるから、と行って私は彼と別れた。

(他の近所の人の場面は面倒なので書きません！！)

よし、私の周りの人たちにはもう配り終えたので、次は凛の家へ。
凛の家は私の家から少し遠い。また態々遠い所に行くのかぁとは少しだけ思うが、佃煮に必要な調味料である酒を凛の家の人から頂いたので、そのお詫びだと思えば遠かろうが関係ない。

凛の家に着き、呼び鈴を鳴らす。
中からは恐らく凛のお母さんだろうか？
明るい声が聞こえてきた。

「はーい・・・ってあら！Aちゃん！
今度はどうしたの？」

『先程のお酒のお礼とは言っても何ですが、土筆の佃煮をおすそ分けしに来ました』

「へぇ〜。土筆の佃煮なんて食べた事無いわね。有難く頂くね。タッパーは凛に返しに行かせるから」

『凛は引きこもりなのでそれがいいですよ。
それでは失礼しますね』

凛のお母さんは、凛と同じ位明るい。凛の明るさはお母さんから遺伝しているんだろうなぁと常々思う。