【WT】花天月地Ⅱ【Smile】 (ページ14)

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「で、朝の事は何か聞いたの？」
そんな事を私に言う凛の表情はニヤニヤしており、最高に気持ち悪い。

『なんか怯えちゃったのか聞けなかった』

「も〜！折角のチャンスが勿体無いでしょ！」

『なんの』

「笑琉と話す機会！もっと仲良くなれるかもしれなかったのに〜」

『毎日会話してるんだから自然に親密関係築けてるから今更でしょ』

私の努力を無下にするの〜！？という凛には申し訳ないが、実際そうなのだ。
もうそこそこ良好な関係なのだから、今更そんな事して何が変わるのか。

「アピールすればいいじゃない！そうすれば笑琉も振り向いてくれると思うけど・・・」

『私は積極的じゃなくて消極的なの凛はとっくに知ってるでしょ。消極的だった人が急に積極的になったらびっくりするんじゃないの』

「さりげなくアピールするの。
・・・あ、そういえば明日に公民館でお花の展示会あるんだって。私チケット2枚貰ったから笑琉と行ってきたら？」

『私じゃあるまいし笑琉は花なんて見てて楽しいと思えるのかな・・・』

「とにかく誘ってみなさい！ほら、チケットあげるから」

『・・・ありがとう、頑張る』

毎回毎回凛に助言を貰って終わってばかりの私ではない。行動しなければ前進はできないのだから、自分から進まないで誰が進む？
自分を進ませるのは周りの人ではなく、紛れもなく自分なのだ。

『・・・帰り、誘ってみる』

「いいよ〜その調子だ〜！あと次いでに朝の事も聞いてみな。私は一人で帰るからAと笑琉で2人で帰って〜」

.

2人きりというのは嬉しい。一対一で話すのは慣れているとしても、何かに誘うとなるとスムーズに会話が進む気がしない。
はぁ、と一つ溜息を零して校門付近で笑琉を待つ。
でも明日は土曜日だから吹部も部活ありそうだなぁ・・・
吹部は意外とハードな練習だとよく聞いている。
コンクールがそもそも多い訳だからね。
それに比例して練習日も多くなる。

『やっぱりやめておこうかな・・・』

「何を？」

『おわっ・・・なんだ、笑琉か』

「なんだって失礼だな、俺じゃない方が良かったの？」

『そういう訳じゃないんだけど・・・急に声掛けられたから驚いただけ』

「あっそ、帰るぞ」

彼はそう言って先にズカズカと歩いて行ってしまったので、私も彼に追いつき同じスピードで歩いて帰る。

誘うタイミング、伺わないとな。
今言った方が後々楽だろうし。