#55 ページ13
まぁ、そんなこんなで解散する事となったので、私は帰路に着こうと歩き出した。
ってか下駄めちゃくちゃ歩きづらいな・・・
草鞋にすれば良かったかな・・・
と、後悔しながらだらだらと歩いていると、帰路が同じ笑琉が此方へやってくる。
『なに』
「一緒に帰ろうと思って」
別に断わる理由なんて何処にも見当たらないので、承諾した。
下駄のせいで足が痛く、時たま立ち止まってしまったり歩く速度が遅い私を、彼は気遣って私の歩くスピードに合わせてくれる。
「慣れない下駄なんて履くから・・・」
『元々は草鞋にしようと思ってたんだけど雰囲気壊したくなかったから下駄にした。まぁ今更そんな事気にしたってもう遅いけど』
「下駄に慣れるか草鞋履くかだな」
『頑張る。でも下駄だけじゃなくて袴も着慣れないから裾とか邪魔臭い。あと重い。着付けも自分で出来るとは言え面倒』
「・・・似合ってるからいいんじゃね」
『・・・あっそ、ありがと』
彼に“似合ってる”と言われて凄く嬉しかったのは秘密です。
...
冬休み明けの学校が始まる初日。
教室の中は何時もより賑わっており、正月や晦日は何して過ごしたか話したり、お年玉の合計金額で争う生徒たちが沢山いた。
そんな中、私は何時も通り自分の席に座って読書。変わらない朝の時間。
読書をしていると、急に誰かに私が読んでいる本を手からスっと抜き取られた。
『何して・・・って凛か、何』
恐らく凛が私の本を抜き取った人だろう。
彼女に要件を問うと、
「寒い中Aを待ってた私と笑琉の気持ちも知らないでAは暖かい教室でぬくぬくと優雅に読書してて楽しいですか？」
と凛はニコニコと満面の笑みで私を見つめ、そう言った。
『でも家出た時間は何時もと同じだった』
「教室の時計見て。今何時何分？」
『・・・7時45分』
「私たち何時もその時間に学校着いてるでしょ？
つまりAは時間が間違ってたんじゃないの？」
『時計壊れてたのかな。でもホントにごめん』
「いや私は怒ってないから良いけど・・・」
『何、笑琉は怒ってたの？』
「ま、後々分かるよ。じゃあね〜」
と、彼女は手を此方にふらふらされて3組の教室から出て行った。
なんだ後から分かるって・・・
分かってないからこうして聞いてるんでしょ。
笑琉本人に直接聞くのも少し億劫なので、結局私は一日ずっと聞けずに放課後の部活の時間を迎えてしまった。
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作者名：七瀬紫苑(レイピアさん。) | 作成日時：2021年2月14日 21時
