【WT】花天月地【Smile】 (ページ23)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:30,228 hit

#22 ページ23

放送が終わったのでマイクの電源や放送機器の電源を切る。
弁当はまだ残っているので、あと20分程で昼休みが終わる為、急いで食べて片付ける。

結局食べ終わったのは授業開始の5分前。
全力で廊下を走り、全力で階段をかけ上る。
次の授業は国語なので、必要なものを持って国語科教室へ駆け込んで時間を確認すると授業開始一分間だった。

『はぁっ・・・間に合った・・・』

私の喉から出た声はもはや声とは呼べない程、ガサガサで殆どが息くらいの声だった。

もう二度とこんな必死こいて廊下を全力疾走したり階段をかけ上ったりしないんじゃないかってくらい動いた為、疲労感が凄かった。

ゲホゲホと咳をしていると笑琉が｢大丈夫か？｣と言って心配してくれたが、全然大丈夫じゃない。瀕死です。
その意思を込めて首を横に振る。
息苦しくて声が出せない・・・

sm｢大丈夫じゃないのか・・・一回落ち着かせろ｣

呼吸を整えているうちに、少しづつ元の調子に戻ってきた。

『ごめん、笑琉。心配してくれてありがとう。もう大丈夫』

sm｢・・・そう｣

私が彼に対してお礼を言っても彼は相変わらず素っ気ない態度のままだった。

無事、私は絶命せずに帰りの学活まで持ち堪えた。
ただ、此処を越えると一番高い山が私の目の前に聳え立つのだ。
それは“凛との仲直り”。
今日から部活に復帰する、とは顧問には報告済み。
しかし、凛とは同じ部活なので嫌でも会ってしまうのだ。
でも私は決めた。“凛と仲直りする”って、確実に決めたんだ。
決めたことは決して投げ捨てない。私はそんな性格だから。
そういえば、凛もこんな私の性格を長所だ、って褒めてくれたっけな。
私のこの性格を発見したのは、紛れもなく彼女のお陰だった。

そして放課後。笑琉が私に話しかける。

sm｢今日から部活行くんだろ、ちゃんと仲直りしてこいよ｣

これも、彼なりの応援の仕方なのは私はとっくに理解していた。
笑琉も笑琉で、変わらないなぁ。

『ありがとう、帰り一緒ね』

sm｢友達はどうすんの｣

『仲直り出来たら私含めて3人で帰る・・・とか？』

sm｢・・・もうなんでもいいよ。いいから早く部活行ってこい｣

彼はそう言って教室から出て行ったので、恐らく部活に行ったのだろう。

・・・私も、部活に行くかぁ・・・

いざ凛と対面するとなると、凄く気まずい。
だが、こんな関係の儘でいたら他の部員達も気分が下がってしまう。
楽しい雰囲気がこの部活の最大の特徴なのだから。