空白が九つ。 ページ10
「この事件って」
徐に立ち上がり、先刻の上司の目に入るように一枚の資料を目の高さにやると、彼は「嗚呼、」とAが態々何枚もある中でこの一枚の資料を見せたのが腑に落ちたように云う。
「その事件...いや、その組織は謎が多すぎるんだ」
Aはもう一度自分でその一枚を見て、少しも迷うことなく、云った。
「この事件、私が担当してもいいですか」
そう云うと、彼は目を疑った様子だった。確かに謎が多い事件を担当したいなんて、余程の命知らずか莫迦だ。
理由を聞きたそうな表情の彼に気付かない振りをして、背を向けた。
「では」
背を向けたAの行動は早かった。
直ぐにその組織の尻尾を掴み、関わる事件全てを洗い出した。
変わったことがあったのは、いつものように組織のいた痕跡を調べていた時。
「全員殺されています!」
地面を染めた血液は未だ完全に染み込んではいなかった。
まだ新しい。殺害されたばかりということだ。
「...ってことは」
「あ?何だ手前等」
Aの予想は的中した。
26人がお気に入り
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年9月8日 13時