【文豪ストレイドッグス】空白にもなり得ない世界の話。 (ページ8)

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空白が七つ。ページ8

高層ビルだった。

屋上の扉は空いている。地上には杉本巡査と巡査長が待機。A一人で屋上に向かうことになったのだ。

静かに扉を開くと、その子はもう既にフェンスを超えていた。後一歩足を踏み出せば、落ちる場所にいる。

その子は未だAに気付いていない。

Aはそろりそろりと後ろに近付いて...

「わっ！」

「きゃあっ！？」

背中を押した。

甲高い悲鳴を上げ、落ちるギリギリでAがその子の腕を掴む。

恐る恐る、といった様子で此方を見るその子は頭上にクエスチョンマークを沢山浮かべている。

「っな、何、何」

云いたいことはもっと他にある筈だ。パニック状態になって云いたいことが直ぐに出ないことも、判っていた。

「怖かったでしょ」

聞くと、Aの「ほら、云ったでしょ」という態度が自尊心を傷付けたのか、驚いた表情から一変、眉を吊り上げて怒った。

「死ねば怖さも全部、終わりになるでしょ！あんた軍警！？どっか行ってよ！

死にたいんだよ！」

「流れ星が流れる時に三回願い事を云えば叶うって云うのはね、迷信とかじゃなくて、例えなの」

行き成り何の話だ、とその子は少し怯んだ。Aは構わず続ける。