【文豪ストレイドッグス】空白にもなり得ない世界の話。 (ページ44)

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空白が四十三。ページ44

ナオミがお茶を出しに行き、その間敦は国木田に呼ばれてその場にはいなかった。

Aが窓から横浜の景色を眺めて待っているのを横目に、国木田からの要件を聞いていた。

「Aちゃんが来るなんて、否、生きてるなんて知りませんでした」

怒るでも拗ねるのでもなく、少し寂しそうに敦が云うので、国木田も申し訳ない気持ちがあった。だがしかし、国木田も知らなかったのだ。

「云うなら太宰に云え。俺も知らなかった。...それで、お前を呼んだのは、Aを現在に送った異能者が判ったからだ」

「判ったんですか！？」

判りやすく反応を見せる敦。

国木田は敦からその人物に関する資料に目を向けた。

そして、読み上げていく。

「マルセル・プルースト。仏蘭西人の男性で、異能力は『失われた時を求めて』。

時空操作が主で、自分以外も送ることが出来る。

本人が亡くなった場合、異能は消滅し、送られた人物は元の時間に戻ることになる。

その他特徴は、時計蒐集が趣味で時間そのものを愛している」

情報はこれだけだった。

次に敦が疑問に思ったのが、この情報を何処で手に入れたのかだった。

それに几帳面の国木田が、こんなにぐしゃぐしゃになった資料を持ってくる筈がない。