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空白が四つ。 ページ5

無言で歩くというのは立場があっても気まずくなるもので。




「あの、本日は探偵社に向かわれると云うことですが、何があったのか聞いても?」




地図は交番を出た時からAの手にあった。

聞くと、その女性は暫く考えてから、口を開いた。只の探偵社ではなく、武装探偵社なだけで只事ではないことは判る。

そこまで判ったのならAは聞かずにはいられなかった。




「...殺されたのよ。」


「え、」


「夫が殺されたの。」




もう一度、ゆっくりと云う。

口に出すのだけでも辛い筈なのに、この人の表情は余り変わっていないのはもう吹っ切れたからか、隠しているだけか。




「...変なこと聞いちゃって、御免なさい」


「いいのよ、結構前のことだし。軍警にも云ったんだけど、未だ解明されずに捜査は打ち切り。探偵社しか頼りがないのよ」




矢張りもう吹っ切れていたらしい。

道は路地に差し掛かっていた。歩く中で今のところ気配は無い。




「失礼ですが、ご自宅はどちらで...?」


「家は東京の方よ。元々は横浜に住んでいたんだけど、夫が死んでからは移ったわ。」




それだけ聞いて、そうですか、と他人行儀に云う。

只の世間話の延長。でもそれが、鍵になる時もある。

空白が五つ。→←空白が三つ。



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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年9月8日 13時

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