空白が一つ。 ページ2
ぱちり、と目を開ける。最初に入ってきたものは、白い天井でも、空でもない。
先程見ていたのと同じ、只の横浜の景色だ。人口が多いこの魔都、横浜は、人が行き交い、それでも人一人ぶつかること無く歩いている。
もう孤児ではなくなった証の腕時計を見れば、時刻は丁度朝七時。
晴れているせいか、秋だと云うのに少し暑さを感じる今日この頃。
深淵のように黒く染まった長い髪をお団子に結い、項を出せば、風通りが良くなって先程の暑さは少しばかりマシになった。
私は頭の中に入った横浜の地図から一つの場所を探して、そして歩き出す。ずっとその場に留まっていたせいか、一歩踏み出すその足がよろけた。
バランスをとり体制を立て直すと、速度は一定に保たれる。
段々と速度を落とし、足を止める。到着。
「...どこの部署の方ですか?」
一番最初に云われたのはこの言葉だ。Aの格好を見れば一目瞭然、軍警だ。
「今日から異動になりました」
ビシッと敬礼をすると、相手も納得したかのように敬礼を返す。
「新米なのに異動か、大変だな。名前は?」
「中島Aです。名字はあまり好きではないので成る可く名前で呼んで下さい。...我儘かもしれませんが」
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年9月8日 13時