検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:5,241 hit

兄さんが来た! ページ30

私は「勝手にしなさい!」と怒鳴りながら油の方の蓋も外した。

「アンタ達が何と言おうと……私は絶対に燃やしてやるわ!!」
「うわあああナナミちゃんとしんちゅうなんてやだあああ!」
「せめてユウミさんがかえってきてからにしろおおおお!」

馬鹿じゃないの?
姉さんと心中なんてさせないわよ。
騒ぐ二人を鼻で笑いながら、私は暖炉の火に油とガソリンを注ぎ入れようとした……
その時だった。
「待て!お前らの都合で国を滅ぼすな!」 と叫びながらズカズカと、居間に男が一人入って来た。

私は仰天した。
そう、その人は私の実の兄さんだったのだ。

「あ、あおばだ!」
「ナナミちゃんをとめて!ガソリンをとりあげて!」

声を上げる二人に青葉兄さんは頷き、「よし、分かったからお前達はあっちへ行ってな」と言いながら今しがた自分が開けたばかりの玄関へと続く扉を指差した。

すると、リーオックさん達は「うん」「たのんだぞ」と言いながら、案外素直に出て行った。


なんか拍子抜け……。
私が二人をぼーっと見送っていると、いつの間にか兄さんは私に近づいていたらしい。
横合いから「ひょい」と缶を奪われてしまった。

「ちょっと!」
「『ちょっと』じゃねぇよ!危ないだろ!何やってんだよ!」
「だって!」私はソファの上の、未だ顔色の悪いリーハ君を指差した。
「リーハ君が凍死寸前なのよ!」
「なんで凍死寸前なんだよ」

首を傾げる兄さんに、私は「雪だるまの中に埋められたのよ!」と手短に話をし、「だから暖めなきゃ!」と主張した。

「いや、お前のやり方だとリーハ君の死因は、凍死から焼死に変わるだけだぞ。救急車を呼べよ」
「あ」兄さんの言葉に、目からウロコがボロリと落ちた。

そうよ………そうよ!
救急車を呼べば良いんだった!
どうして今まで思い付かなかったのよ!

私はダッと居間を駆け抜けて、黒電話に飛びついた。

リーハ君、待っててね……もう少しの辛抱よ!
私は、ジ、ジ、ジ、ジ、ジと番号のダイヤルを回そうとした……が。

「アレ?」

なんと、救急番号が分からなくなってしまったのだ。

「え?え?なんだっけ?えっ?」
「おい、まさか救急車の番号を忘れたのか?」
「なんか急に分かんなくなっちゃったのよ!」

うわあああどうすんのよーーー
リーハ君を病院にも送れないなんて!
どうして番号まで忘れちゃうのよーーーっ!
バカバカナナミ!

私は心の中で叫んで地団駄を踏み、更に頭を掻きむしった。

兄さんもコロス……→←熱くなれ! 燃やしたれ!



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
6人がお気に入り
設定タグ:僕のクレイジーDAYS , 妄想爆発 , 殺し屋   
作品ジャンル:笑える話, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

冷兎 - シャーロックさん» それはない、え、てか二人が言うこと聞くとか明日地球滅亡するの?? (2021年1月31日 21時) (レス) id: c9ef579e5a (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック(プロフ) - 冷兎さん» ふふふ、ナイスなのはレイトの絵がすっごくかわいいからだよ! (2021年1月31日 15時) (レス) id: 9c59d2a140 (このIDを非表示/違反報告)
冷兎 - 姉貴…ここであの絵を取り入れてくんのと青葉入ってくんのナイスすぎる (2021年1月31日 1時) (レス) id: c9ef579e5a (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック(プロフ) - 冷兎さん» もうめっちゃくちゃだねwこれが本当のクレイジーDAYS☆ (2021年1月29日 21時) (レス) id: 9c59d2a140 (このIDを非表示/違反報告)
冷兎 - シャーロックさん» あ、俺よりヤバイ人出てきてはるんですけど??え、ちょ、らんn((ナナミぃ!サンクチュアリ燃やして彼女と一緒に日本に帰って来い!! (2021年1月29日 21時) (レス) id: c9ef579e5a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:シャーロック | 作者ホームページ:https://twitter.com/Sherlock_Rio  
作成日時:2020年12月22日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。