Christmas at the sanctuary!

耳が壊れる！ ページ13

そんでもって、リーオックさんの頭にゲンコツを落とす。
リーオックさんはリーハ君の足を叩くのに夢中になっていたから、さっきのように逃げられることはなかった。

「大体、アンタ達が勝手に私のご飯を食べちゃったからでしょうが！！アンタにリーハ君の文句を言う筋合いはない！」

ゴツン、と私のゲンコツをまともに喰らったリーオックさんは頭を押さえて床に尻餅をついた。

そして……

「ウワアアアアアアン！！」と火がついたように泣き出した。
すると、コノハヅキさんもリーオックさんに張り合うように泣き声の音量を上げた。


うるさいったらありゃしないわ！
私とリーハ君は慌てて耳を押さえる。
が、その拍子にどうした事かラジオが床に落ちてしまって…………
ボリュームボタンがイカレたのか、爆音でジングルベルが流れ始めた。


「ジングルべ〜ル！！ジングルべ〜ル！！鈴がなる〜！！鈴のリズムに光の輪が舞う〜！！ジングルべ〜ル……」


私は慌てて床のラジオを拾い上げ、音量を直そうとした。
だけど、今度は爆音クリスマスソングに負けじと声を上げて来たリーオックさん達の所為で頭がワンワンとしてしまい、何をどう直したら良いのか分からない。

「ウワアアアアアアアーーー！！」
「ジングルべ〜ル！！ジングルべ〜ル！！鈴がなる〜！！森に林に響きながら！！」
「アアアンーーアアアアン！！」

もはやカオス。
リーハ君は目をシロクロさせている。

「もうーーー！！いい加減にしてーーー！！」

私も頭がどうかなってしまいそうだった。



騒音で死亡しそうになりながら、ラジオと格闘する事、それから５分。

悪夢のようなクリスマスソングが終わり、
「朝のニュースです。ロンドンの中心街で子供を狙った誘拐事件が多発しております。犯人は身代金を請求したのち、支払いに応じないと、被害者の指を切って送りつけるという世にも残酷な手段をとっています……」

などと気色悪いニュースが流れた頃に、ようやくボリュームを落とす事が出来た。
……だけどよく考えたら、電源を落とせば良いだけの話だったわ。

私が溜め息をつきながらラジオを元のところに戻すと、リーオックさんとコノハヅキさんの泣き声も次第に小さくなり………やがて「ヒック、ヒック」としゃくりあげるだけになっていた。
二人とも、涙で袖が濡れてぐしょぐしょになっている。

それを無視してまた食事に戻っても良かったんだけど……
私は気がつくと二人の前にしゃがみこみ、声をかけていた。

何がしたいんだ、コイツら→←かくれんぼ？　するわけないじゃん？

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