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27【オーガの。5】 ページ28

いやいやいや。

座る場所ならば私の目の前があるでしょう。座る場所ならば。

わざわざ隣(といっても斜め右隣だけど。)に座る理由なんてないじゃないの。
驚いたわ。


そこまで考えてハッとする。

まさか所謂色仕掛けとやらで私から情報を吐かせるつもりでは…!?


《…ないです。》


あ、スキルさん。冗談ですから。気にしないでください。
別に他意があったわけではないです。


《…それに、先程から、扉の外から気配を感じます。》


あ、はい。やっぱり里の物知りさんを連れてきましたか、オーガさん。このやろう。
多数対一人なんて卑怯だぞ!


《…(マスター)。》


あ、ごめん。ふざけすぎました。冷静になります…。


少し自分を落ちつかせる為に、頂いたお茶に口をつける。

…あ。温かくて、美味しい。
なんだかほっとする。この人が入れたのだろうか?
だとしたら、このよく分からない茶会が終わったら、また、飲みたいな。

そんなことを考えていると、オーガさんがゆっくりと口を開いた。


「…それで。貴女は『迷子』だと言っていたが、親とはぐれたのか?」


…む。
何か核心に迫る質問とかしてくるかと思っていたけれど、そうではない様子。
少し身構えすぎたかもしれない。


と言っても親か。記憶のない私には難しい質問だなぁ。

ふとそんなことを考えた時。
オーガさんは、

「…答えづらいのなら無理にとまでは言わない。」

…と、言ってくれた。返答が遅かったからだろうか。


いや、でも。"あくまでも"優しくしてくれているのだ。
それに、敵意がないというのを伝えるには、こちらが不利に働くような情報だけ与えなければ良いだけで。別に嘘をつく必要はないだろう。

私はそう考えると、青髪のオーガさんにちらりと顔を向けた。


『いえ、大丈夫です。ただ、その、私、記憶がなくてですね、』

少し言葉を選びながら、続ける。

『親がいるかとか、わからないんです。気がついたら洞窟にいて、宛もなく歩いてきました。』


リムルさんってスライムに会いましたとか。
ヴェルドラさんって暴風竜に会いましたとか。

そんなのは言わなくていいや。なんか面倒になりそうだし。


そんなことを頭で考えていると、オーガさんは私の頭を撫でてきた。

「そうか…。」

…ん?何故撫でられている、私は。

「小さいのに、頑張ったな。」

…んん?待って待って。
何故撫でられている、私は。大事だから二回思ったけれど。

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ミナ(プロフ) - 夢見る雀さん» ありがとうございます(´;ω;`)そう言っていただけるなんて感激です!頑張ります!!(´TωT`) (2019年10月14日 21時) (レス) id: 13cdda6338 (このIDを非表示/違反報告)
夢見る雀(プロフ) - この小説めちゃくちゃ好きです!更新頑張ってください! (2019年9月27日 5時) (レス) id: fa272da316 (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - 3626 5503 63さん» ありがとうございます!(´;ω;`)ゆったり更新ですが、がんばります! (2019年8月21日 1時) (レス) id: 13cdda6338 (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - かぐやさん» そうですよね!アニメ2期も楽しみです(*^^*) (2019年8月21日 1時) (レス) id: 13cdda6338 (このIDを非表示/違反報告)
3626 5503 63 - 更新大変かもしれないけど 頑張って下さい! (2019年8月13日 10時) (レス) id: 878066c85e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミナ | 作成日時:2019年6月29日 0時

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