【転スラ】転生したら、まず夢を疑いました。

20【洞窟の外の。8】 ページ21

ピチャンッポチャンッ


今回の木の穴は、今までのより大きかった。
小鳥を、潰さないように、でも、冷えないように。
腕の中に、緩く抱いている。


灰色は、もう、鳴かない。
…先程より、体温が低くなってきている気がする。
…冷たい。


《魔鳥の体温は、確実に下がってきております。》


ほら、スキルさんも言っている。
ねぇ…どうしたら良いかな…？


《主(ﾏｽﾀｰ)に、魔鳥の名付けを提案致します。》


え？名付け？


《はい。名付けによって与えた魔素が、魔鳥の自己治癒能力を高める可能性があります。また、名付けは進化を促します。進化により、怪我が軽減される可能性もあります。》


…なるほど。前に言っていた、名付けの危険性は大丈夫なの？


《魔鳥に与えられる魔素量はごくわずかのはずです。たとえ主(ﾏｽﾀｰ)の魔素が回復しなくても、名付けられた者は、名付けた者の配下になるため、今回限りならば支障はないかと思われます。》


そうか、じゃあ…。


私は、腕の中の灰色を、そっと撫でる。

そとからザーーッという雨音が響く。

『…君の名前は、"ピィ"にしよう。』



ピクリ。

小さくだけれど、小鳥が反応したのがわかった。



これで、助かれば。






視界がだんだんとぼやけていく。

洞窟で目覚めてから、ここに来るまで、そう言えば寝てなかったな、と気づく。
そうか、そんな頻繁には眠りを必要としないのか、私は。


瞼が、重い。…ゆっくりと、閉じていく。


どうか、目が覚めたら、小鳥(ピィ)が元気になっていますように。

…私に、小鳥(ピィ)を治す力があれば良かったのに。



《確認致しました。エクストラスキル『癒しの手』を獲得…成功しました。これにより、ユニークスキル『調整者(ｶｹﾞﾝｽﾙﾓﾉ)』が発動、他者に何らかの影響を及ぼすスキルの獲得が不可能となりました。》


スキルさんの声が、遠くに聞こえた気がした。


《主(ﾏｽﾀｰ)が魔素の使い過ぎにより、スリープモードに移行しました。これにより、ユニークスキル『予知夢者(ﾕﾒﾐﾙﾓﾉ)』が発動します。》









…。



…。



…。


真っ白な、鳥だった。

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