第34話 ページ36
｢主様、傷口に御札を！｣
｢は、はいっ！｣
｢貼れたらもう1回霊力を込めてください！｣
刀を抜いた傷口に、御札を貼って。
丁寧に霊力を込めていく。
｢薬研さん、後はもう外に出ていてください！｣
｢いち兄は……いち兄は助かるのか……！？｣
｢まだわかりません、そればっかりは主様の技量と一期一振さんの精神力次第です…………｣
そう言ってこんのすけは、ちらりと私の方を見た。
どうしてそういうこと言うかなぁ！？！？
ただでさえ緊張してたのが何倍にもなって降り掛かってますが！！！！
というか初手入れが死にかけの重症患者とか聞いてない！！！
聞いてない、けど…………
ボロボロの刀が目に入る。
今にも折れてしまいそうな、血の着いた刀。
薬研さんの、辛そうな表情。
いち兄ってことは、粟田口の皆さんのお兄さんってことでしょう？
…………私が助けなきゃ。
薬研さんの、みなさんの、大切な人を……助けたい。
｢や、薬研さん！｣
｢大将……？｣
｢ぜ、絶対助けますから！
だから、だから……待っててください｣
我ながら情けない。
声も、霊力を込めてる手も震えてるし、涙目だし。
本当は怖くて逃げ出しちゃいたいもん。
審神者なったばっかりで、なんの経験も無いくせに、『絶対に助ける』とか。
頼りないなぁ、私。
でも、頑張らなきゃ。
ここの本丸の人は……誰も死なせたくない。
恐る恐る薬研さんの方を見ると、薬研さんは少し驚いた顔をして、それから真面目な顔になって…………
｢いち兄を、頼む…………大将｣
そう言って、部屋を出ていった。
｢こ、こんのすけ、次はどうしたらいい？｣
｢とりあえず止血は完了です。次は刀の手入れをしましょう！！
欠けたり割れたりしているところには御札を貼って、刀をぽふぽふして、拭いての繰り返しです！｣
｢もしかしてこんのすけ説明下手！？｣
言われた通りに御札を貼って、ぽふぽふして、拭いて………………
｢あ、あってる？｣
｢そうですそうです！さすが主様、飲み込みが早くて助かります！！｣
黙々と手入れを続けて……何時間経ったんだろう？
夜手入れを始めたはずなのに、外はもうすっかり明るくなった。
｢これで御札を剥がせば……完璧です、主様！！｣
｢で、できた……！｣
お昼頃、やっと刀が綺麗になった。傷がついていたとは思えないくらい。
………………て、徹夜とか初めてした。
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雪 - とても良かったです( ´艸｀)続きが気になります(´ｰ｀) (2020年12月26日 21時) (
レス) id: ed2686deb5 (このIDを非表示/違反報告)
花梨(プロフ) - 雪乃さん» ありがとうございます！更新頑張りますね！ (2020年12月22日 21時) (レス) id: ca517f1ee4 (このIDを非表示/違反報告)
雪乃 - このお話めっちゃ好きです！続き楽しみにしてます！ (2020年12月22日 16時) (レス) id: 04eef4e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
花梨(プロフ) - イッヌの毛さん» ありがとうございます！伸びるように祈っててください！w (2020年11月20日 23時) (レス) id: ca517f1ee4 (このIDを非表示/違反報告)
イッヌの毛 - 面白い！絶対伸びる！ (2020年11月20日 20時) (レス) id: e2d97a71dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らび | 作者ホームページ：
作成日時：2020年10月18日 23時
