行方不明の兄を探します。part.2 (ページ27)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:11,147 hit

捜索７３日目ページ27

「急にどうしたの？」

「なんとなく、如月と酒が飲みたかった」

「そっか」

生を頼み、乾杯した

「お兄さんのことは忘れよう」

「すぐには無理だよ.....」

罪悪感で死にそうな気持ちなのに....

「大丈夫」

「何が大丈夫なの！？」

成瀬に怒るのは可笑しいって分かってる

でも分かったような素振りの成瀬が.....

「大丈夫、俺が楽しい思い出ですぐに忘れさすから」

「っ」

成瀬はいつも優しい

見えない優しさが多かったけど付き合ってからは表に出してくれて

成瀬が本当に私の彼氏でいいのか時々不安になったこともある

でもそれ以上に成瀬が好き

その気持ちはどうなっても変わることはない

絶対に

「ごめん、ごめんねっ」

顔を手で覆い、涙を隠した

「俺こそ泣かせてごめん、賑やかな方が話しやすいと思ったが間違えたか」

「ううん、二人の方が余計に駄目だったかも....」

涙が止まらなさそうで

「よし、気持ち切り替えて酒飲むか」

「うん！」

私達はさっきの空気がなかったかのように他愛のない話をした

仕事の話、自分の家族の話

子供の頃の話、楽しかった話

お酒を飲み、おつまみをつまみ

最高の時間だった

「飲みすぎたかも.....」

気分が悪い

「大丈夫か？酔った？」

「たぶん酔った、飛ばしすぎた.....」

普段あんまり飲まないのに

「とりあえずここから俺の家が近いから気分治まってから送る」

「うん、ありがと.....」

私は支えてもらい、成瀬の家に行った

「ん」

靴を脱ぎ、中に入ると成瀬に体重をかけてしまった

「ごめ、すぐ退く.....」

「大丈夫」

成瀬は私を抱き上げ、自身のベットに寝かせた

「駄目だよ、寝ちゃう.....」

もう重たい瞼が下りてきている

「気にすんな、ゆっくり寝ろ」

頭を撫でられ、完全に意識が飛んでしまった