神子柴君と喜怒哀楽 ページ31
坂本有希が校長室に入ると神子柴龍巳が項垂れていた。
その拳は赤く染まっていた。
「大丈夫?」
「超いてぇ。」
神子柴は壁に凭れ掛かり天井を眺めていた。
校長は気絶しているのか椅子に座って白目を剥いたまま動かない。
「でもどうしたの?急に、」
「…分かんねぇ、」
「え?」
「分からねぇんだ…俺は、俺が何をしてたのか。本当に…」
神子柴にしては情けない声に有希は少し笑った。
其れを見て神子柴は嫌そうな顔をしたがすぐに笑みを漏らした。
腹部がズキリと痛む。
「い"っ…!?」
「あはは、もー無理しないでよ龍巳。」
有希には分かっていた。
神子柴の狂喜を、
白槻の怒りを、
慧海の裏を、
校長の野望を、
晶の想いを、
部長達、教師達が隠した事を、
そして自分の喜怒哀楽を。
「有希、」
「何?」
こうやって笑うのも疲れるんだよ、と言っているかのようだった。
「…ありがとな、」
「!…どうしたの?」
「何となく。お、警察きたみたいだな。」
「救急車で運ばれたら少しは寝れるかな。」
ちょっと戯けてみたが神子柴は笑わなかった。
何となく察してくれたんだろう。
今にも泣きそうな顔をした勇気に神子柴は言った。
「そんな疲れる事すんなよ、俺等はいいからさ。」
「…うん。」
涙を拭い取る神子柴の手は暖かく有希の目から涙は止めどなく零れ落ちた。
校長室には救急車の音とパトカーの音、蝉の声が木霊していた。
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龍巳@キチガイ - 睡眠酸素さん» じゃあ次のキャラデザ要求いつかしますんで!待っててね!!それまでにお仕事見つけてね!!!!!! (2017年1月10日 21時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)
睡眠酸素 - oh…イメージ通り過ぎて逆に怖いっていうかすげぇええええ!!!素敵ウワアアアアめっちゃ楽しみってか次の小説も出たい! (2017年1月9日 22時) (レス) id: 397257de9d (このIDを非表示/違反報告)
龍巳@キチガイ - 【 】nanashiさん» は?何言ってんすか名無しさん文才まじください (2016年12月18日 19時) (レス) id: 7edea2d573 (このIDを非表示/違反報告)
【 】nanashi(プロフ) - 龍巳@キチガイさん» やばい、自分がこの中にいる!津原から聞いてるけどまさかこれ程とは、文才ください。 (2016年12月16日 16時) (レス) id: 1572cb3dd0 (このIDを非表示/違反報告)
龍巳@キチガイ - みるくらいす(紅茶10%)さん» 絵描いてー (2016年12月15日 20時) (レス) id: 7edea2d573 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:龍巳@キチガイ | 作者ホームページ:ホームページの追加は禁じます。
作成日時:2016年11月18日 19時