【ONE PIECE】竜の子2【トラファルガー・ロー】 (ページ3)

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【番外】船長の誕生日② ページ3

「……どうした、A」

落ち着きのある声で名前を呼ばれる。
私が何か言うのを待っているようだ。

(ああもう、こうなったらヤケだ……！)

勢いのままに、私は紙袋を差し出した。
顔を直視するのは無理だったので目線は床に置いてきた。

「センチョーさん……その、これ……」
「………開けていいのか」
「はい……」
船長は黙ってそれを受け取る。ガサガサと袋を開ける音と、「何かな」「何だろうな」と話している声が聞こえる。

「……ほう」
袋の中身を見たのだろう。そう呟く船長が何を考えているのかは分からない。
目線は変わらず下を向いているので表情を見ることも出来ない。

「マフラーか」
「はい……」
「これを、俺にか」
「はい……」

毛糸を使って夜通しかけて編んだものだ。もうすぐ寒くなりそうだったから。風邪を引いてほしくないと、それだけの理由で選んだ。
本当はもっとちゃんとしたものを買って渡したかったのだが。

「顔を上げろ」
「は、はい……えっ」

言われるがままに前を向いて、目の前の光景に驚く。
そこには、黒いマフラーを巻いた船長の姿があった。