満月の夜の集会所【2j3j】 (ページ15)

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† bow ページ15

you side

ご飯を食べながら剣持さんとザレンさんの言い合いを見ていたり、世間話をしていると時間はあっという間に過ぎていった。

カ「さて、そろそろ太陽も昇っちゃうしお開きにしよっか！」

剣「…そうですね、いくら年月を重ねて日光に対する耐性がついても陽の光は憎たらしいですし。」

ギ「何かと夜の方が便利だからねぇ、隠れやすい。」

剣「お前は何をしようとしてるんだよ…」

なんて話しながら帰りの支度を始める2人。
2人が帰ってしまえば、同時にまたカザキおねえさまと2人きりの生活が帰ってくる。
それはなんだか、寂しいかもしれない。

剣「…また来年、会えますから。」

『ぇ、なんで、聞こえ…？』

剣「？寂しいなんて可愛いことを言うものだから…冗談でした？」

『え！？いや、冗談じゃない、です…』

剣「…ふ、笑」

ギ「おい！何コソコソ喋ってるんだ！？」

剣「あーもう、煩いなぁ…」

カ「そうよそうよ、何コソコソしてるの！？」

剣「お前もか！何でもないから！散れ散れ！」

しっし、と手を振る剣持さん。
話しながら支度を済ませた2人は立ち上がり玄関の方へ向かって行った。
慌ててAも立ち上がり、2人の後ろを歩いているカザキの元へ駆け寄った。

カ「あぁ、転んじゃうから走らなくても…」

『いいの！それにおねえさまが私を置いて行くから…』

カ「…たしかに、ごめんね？」

『うん、いいよ…あ』

前を見ると、扉に手をかけているザレンさんとこちらを見ている剣持さんが居た。

カ「今年も来てくれてありがとね！」

剣「いえいえ、こちらこそ豪勢な料理などありがとうございました。美味しかったです。」

ギ「次はミートソースパスタじゃなくて、素のパスタでも用意してくれたまえよ。」

カ「そんなの美味しくないじゃない…。」

ギィ、と扉が開き 2人は外へ足を踏み出した。
行ってしまうななんて思いながらカザキおねえさまの後ろで2人を見つめる。

剣「それでは、また来年。」

ギ「楽しみにしておるぞ〜」

閉まりかけた扉の奥で綺麗に腰を折りボウアンドスクレープをする剣持さんとザレンさん。

カ「また来年。楽しみに待ってるね！」

『絶対来てくださいね…！』

カーテシーで返すカザキおねえさまを見て、Aもそれで返した。

バタンと閉まる扉を見ながら
なんだか剣持さんの容姿は童話の中で見た王子様みたいだったけれど、王子様はあんなに口調を荒らげないかなんて失礼なことを考えるのだった。