結晶が三十四つ ページ36
トタトタトタ、
火照った顔を抑えながら私は廊下を歩く。あぁほんとに私はどうしてしまったんだろう。グルッペンさんのいつもと違う雰囲気に当てられたのか、未だに顔が熱い。でも不思議と嫌ではなくて、そこがより私に疑問を湧かせる。でも時が経つにつれて火照りも引いてきたそんな時、
Tn「…あ、A。」
『トントンさん…』
曲がり角のところでトントンさんと出会った。
Tn「ちょうど良かった。Aを探してたところだったんよ。」
『私を?』
Tn「うん。…良ければ今から外に…お出かけしに行かんか?」
『…そと?』
外。私がここに来てから随分経つが、私自身珍しいため最初の頃は外に出るのは控えるように言われていた。でも今日…外に出ていいの?
『でも、危ないって…』
Tn「今日ぐらいならええよ。引きこもるより、たまには外の空気も吸った方がええもん。大丈夫。あまり人混みには行かないで近くの空気が澄んだ公園とかに行くから。…どう?」
優しい声で私に問いかけながら、トントンさんは言う。恐らく強制ではないけれど…外、すごく気になる。
『あ、あのっ、行きたいです…!』
勇気をだして私の意思を伝えれば、トントンさんはニコッと笑って、
Tn「お、ほんまに?じゃあ俺も準備してくるから玄関で待っててくれな。」
『分かりました。』
そこで一旦トントンさんと別れ、私は部屋に戻るとそこにはもうグルッペンさんはいなかった。軽い荷物だけを持って玄関に行くと、まだトントンさんは来てない。少し翼を伸ばしたり尻尾を撫でたりしていると、トントンさんが小走りでこちらにやってきた。
Tn「すまんすまん。書類の移動に手間取ってた。じゃ、行こか。」
『はい。』
返事を返して、がちゃりと玄関の扉を開くと…
『…わぁ…』
きらきらと光る太陽。道を行き交いざわめく人々。それに混ざる異種族たち。街にはこびる様々な色に、私は一瞬目がチカチカした。
『すごい…外ってこんな感じなんですか?』
Tn「なんか今日は人が多いな…まぁでもこんな感じやで。Aはこんなの初めてか?」
『はい…生まれた時からほとんど建物の中だったので…見るもの全て…新鮮に見えます…』
少し人目が気になるけれど、そんなのより私は周りの色とりどりの建物や店がとても魅力的に見えて。植物の緑でさえも美しく見える。
Tn「…よし、これだと人混み通らなあかんけど、向こうに公園あるからそこ行こか。」
『はいっ』
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すみれいん(プロフ) - きゅるきゅる、ウルル…ここめちゃくちゃ好きです。 (2020年12月8日 23時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
×(プロフ) - こんなに面白い作品が読めてうれしいです!応援してますヽ(^o^)丿 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 2c8e323fdc (このIDを非表示/違反報告)
(´ー`*)ウンウン - 好きです。(唐突)頑張ってください。 (2020年11月25日 14時) (レス) id: 79aefbbb5a (このIDを非表示/違反報告)
ラリー - 面白いんじゃあ...続きが気になって死んでまう...(訳:この作品とても好みで面白いです!更新頑張って下さい!) (2020年11月24日 22時) (レス) id: 4e3832928c (このIDを非表示/違反報告)
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