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結晶が十一つ ページ13

私は思いついたことをするために、トントンさんに近寄る。


『トントンさん。』

Tn「ん?な、にっ…?」


ふわり


トントンさんは私より背が高いため、少し翼を広げて浮くと、私はその頭を胸に抱きしめた。…前に施設にいた頃、隣の部屋の仲の良かったゴルゴーンの子がガラス越しに目は合わせないようにして教えてくれた。


「そういえば前にね、ここの人が話してるのを聞いちゃったんだけど、人って抱きしめられることで癒されるらしいよ。ついでに頭を撫でたり。」

『そうなの?』

「うん。なんか人の体温って安心するんだって。…まぁ、僕たちにはそんな機会あるか分からないけれど。」


苦笑しながらそう言うゴルゴーンの子の言葉を何気に覚えていて。ならこの人もそうなんじゃないかと思った。確かこう…頭を、撫でて…


『…無理、しないでくださいね。』

Tn「…!」


さらさらと黒髪を撫でていれば、何故か何も応答がなくて私は抱きしめながらきょとんとする。そしたらグルッペンさんが私の服を軽く引っ張り、


Gr「Aストップ。トン氏情報過多でキャパオーバー起こしてるから一旦やめてやれ。」

『えっ?』


見ると凄くしゅぅ…と顔を赤くしながら固まっており、私は不思議に思いながらも離れて地に足をつけた。


『オスマンさんに徹夜続きだと聞いて…人って抱きしめると癒されるんじゃないんですか?』

Gr「あーいや…合ってはいるんだが、その…やる相手をだな…」


うーんと眉間に皺を寄せて言う。そんなに変な事だったのかな。それとも、この人も…


『…ぎゅー』

Gr「うおっ」


もしかしてこの人もしてほしかったのかな。


Gr「お、おい…」

『…あったかい。』

Gr「えっ」

『グルッペンさんもあったかいですね。』


抱きしめる側もなんだか安心できる。私はそのグルッペンさんの金髪を結晶化した手で傷つけないように撫でる。


Gr「…そうか。お前もちゃんと暖かいぞ。」

『そうですか?』

Gr「あぁ。しかし…これを俺とトントン以外にやるな。勘違いされる。」

『?はい…』


抱きしめることの何を勘違いされるのだろうか。気にはなったけど聞かないことにした。


『トントンさんは、癒されましたか?』


そう聞くと、トントンさんはマフラーに顔を埋めながらこくりと頷いた。


『じゃあ、これで失礼します。』


ぺこっと軽く頭を下げると、私は2人に背を向けて自分の与えられた部屋へと戻る。…今更だけど、怒ってないといいな。

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すみれいん(プロフ) - きゅるきゅる、ウルル…ここめちゃくちゃ好きです。 (2020年12月8日 23時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
×(プロフ) - こんなに面白い作品が読めてうれしいです!応援してますヽ(^o^)丿 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 2c8e323fdc (このIDを非表示/違反報告)
(´ー`*)ウンウン - 好きです。(唐突)頑張ってください。 (2020年11月25日 14時) (レス) id: 79aefbbb5a (このIDを非表示/違反報告)
ラリー - 面白いんじゃあ...続きが気になって死んでまう...(訳:この作品とても好みで面白いです!更新頑張って下さい!) (2020年11月24日 22時) (レス) id: 4e3832928c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ノア | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年11月24日 18時

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